「初等部の原点、3つの教育の願い。」
「個性は宝物 その輝きを大切に」
本校では、子どもたち一人ひとりの個性を大切にし、それぞれの能力や興味を伸ばす教育を心がけています。日々の学校生活や教科の学習では、子どもたちが自分らしい発想や思考を表現できる場を設けています。また、運動会、展覧会、音楽会、学芸会、林間学校など、多様な活動を通じて、子どもたちは自分の得意なことや新しい可能性を発見し、豊かな人格形成を図ります。これらの経験を通して、子どもたちが自信を持ち、自分のその子らしさを発揮しながら、健やかに成長していけることを願っています。
「心の教育」
子どもたち一人ひとりを深く理解し、その気持ちに寄り添うことを大切にしています。子どもたちが素の自分を安心して表現できる環境を整えることで、教職員やクラスメートと互いに信頼し合える関係を育みます。また、心の琴線に触れるような豊かな体験を通じて、思いやりや共感力を高めていきます。子どもたちの心の成長を支えながら、高校卒業までの一貫教育の中で、幅広い視野と深い人間性を培っていきます。
「自然と調和した環境で成長する」
本校は校舎を森に囲まれ、四季の移ろいを感じられる環境にあります。子どもたちは、毎日の生活の中で様々な生き物の息吹に触れ、生命の力強さやはかなさを感覚で学びます。また、森での創造的な遊びは自然を大切にする心を育むだけでなく、自ら考え、行動する気持ちを伸ばします。こうした体験は、デジタルに囲まれたデジタル社会では得られない、かけがえのない時間です。自然の中で感じた驚きや発見は、子どもたちにとって一生の宝物となり、豊かな心と生命を尊ぶ価値観を育むことでしょう。
■教育の特色
森村学園初等部では、四季折々の自然に抱かれながら、「しっかり学び、とことん遊べ」というモットーのもと、子どもたちの健やかな成長を育む教育を展開しています。1910年の創立以来、長きにわたって培われてきた教育実践を礎に、一人ひとりの「学び」に寄り添い、確かな学力と豊かな心を育てる体制を築いてまいりました。めまぐるしく変化する現代は、もはや正解の定まった問いにだけ応える時代ではありません。必要なのは、自ら問いを立て、課題を見つけ、深く探究しながら自分なりの答えを導き出していく力です。私たちは、子どもたちが「考えること」を恐れず、「学ぶこと」を楽しみながら、生きる力を培っていけるよう願いを込めて日々の教育にあたっています。
教科学習においては、算数の二分割授業をはじめとした丁寧な工夫を重ねることで、一人ひとりの理解と定着を確かなものとし、学びを深め、高めていきます。英語教育は、海外貿易の先駆者である創立者・森村市左衛門の志を受け継ぎ、開校当初より継続。現在では、英語、体育、図画工作、音楽、理科、社会、家庭科などにおいて専科制を導入し、専門性に富んだ密度の高い授業を行っています。広々としたグラウンド、木洩れ日の差す森、心おどる遊びの時間――授業以外の場面にも、子どもたちの主体性や感性、思いやりの心が自然と育まれるよう、環境づくりに力を注いでいます。一人の子どもを、多くの教員のまなざしで多面的に、丁寧に見つめていく。これこそが森村学園の教育の本質です。知識の習得にとどまらず、「なぜだろう」と問いを抱き、「どうすればよいか」と考え、「もっと知りたい」と自ら探究し続ける。その積み重ねこそが、子どもたちが未来をしなやかに、そして力強く生き抜くための確かな土台になると、私たちは信じています。
■校長先生のことば
木々の葉が風にそよぎ、鳥たちの声が森にこだまする朝――。校内を歩いていると、さまざまな野鳥の声が静かに響いてきます。一見、のどかなさえずりも、実は仲間との合図や、危険を伝える警告、あるいは「ここにいるよ」と安心を伝える声であることがわかっています。限られた音の中に、実に豊かな意味と意図が込められているのです。自然は、言葉を持たない生き物同士が、響き合い、理解し合う世界を見せてくれます。
本校の子どもたちは、そうした自然の中で日々を過ごしています。毎日、五感を通じて自然を受け取りながら、自らの気持ちを言葉にし、他者の声に耳を澄ます姿が、日常の中に息づいています。私たちは、こうした環境の中でこそ育まれる「感じる力」と「伝え合う力」を、子どもたちにとって最も大切な学びの基盤と考えています。知識の前に、まず心が開かれ、対話が生まれる。そしてその対話の先に、自ら問いを立て、解を求め、未来をつくる力が育っていくと信じています。
自然は、私たちに教科書では伝えきれない学びを日々与えてくれます。それは、知識を超えて他者を思いやること、自分の存在を感じること、世界のつながりを実感することへとつながっていきます。どうぞ一度、森村学園初等部を訪れてみてください。自然の息吹の中で生き生きと学ぶ子どもたちの姿に、言葉だけでは伝えきれない、教育の本質を感じていただけることと思います。
■教育の内容 小学生の「学び」は、知識を得ることにとどまらず、将来の可能性を広げるための土台となる、大切な基礎づくりです。そして「遊び」は、その楽しさの中にこそ、試す・気づく・考えるといった力が育ち、友だちと関わることで社会性や協調性が培われていきます。だからこそ、森村学園初等部では「しっかり学び、とことん遊べ」を教育のモットーとしています。学びも遊びも、どちらも子どもたちの成長に欠かせない時間であり、互いに響き合いながら心と知恵を育てていくものと捉えています。子どもたち一人ひとりが、人の気持ちに寄り添い、自ら考え、内から湧き出る力で伸びていくことを願っています。私たちは日々、緻密な指導計画や教材研究を重ね、子どもたちを丁寧に見つめながら、その成長を支えています。「今、この子に必要な学びとは何か」。その問いを大切に教職員が連携し合い、子どもたちにとって実り豊かで充実した学校生活を届けられるよう努めています。
■教育の目標
〜森のように広がる未来へ、一人ひとりが成長の種を育てよう〜
・美しいものを愛し、自然を大切にする子に育てよう。
・困難を乗り越える強い心を持つ子に育てよう。
・基礎学力をしっかりと身につけ、向上心を持つ子に育てよう。
・友だちと仲よくでき、思いやりのある子に育てよう。
・体を鍛え、自分自身を大切にする子に育てよう。
・善悪のけじめをつけ、進んで善い行いをする子に育てよう。
■教育の特色
○ランゲージ・アーツ
欧米諸国で実践されている世界標準の母語教育であり、体系的にことばの学習を行うプログラムです。2012年より中高等部で開始され、初等部は2018年から行っています。批判的思考(絵やテクストの分析)や、論理的思考(多面的に物事を見る技術)、情報伝達の力(説明・描写・報告)等を通して、「ことば」について深め、将来にわたる社会活動において必要となるスキルにつなげていきます。1・2年生では年間9時間、3年生以上では年間6時間実施しています。授業では、絵本の読み聞かせから始まり、聞き取った物語を再現する活動などを通じて、“ことば”の使い方や意味についての理解を深めていきます。正しい知識を身につけることで、文章を読み取る力や、自分の思いを言葉で表現するスキルを少しずつ育てていきます。高学年になると、他教科でも子どもたちの“書く力”や“伝える力”の伸びを実感する場面が多く見られます。中等部でもランゲージ・アーツの授業は継続しており、大学受験時の小論文においても、しっかりと自分の考えを文章で表現できる力につながっていて、小論文作成も苦にしない人が多くなっていると聞いています。
〇ICT(情報)教育
「校内にメディアルームを設置し、専門の教員を配置して、1人一台のiPadを持ちながら、発達段階に合わせて機器の使い方やメディアリテラシーを学びます。iPadはI C Tの授業だけでなく、“ノートと同じ”という文房具の一つといったレベルで各教科で使用しています。I C Tの授業を通して学んだスキルや知識が実社会と繋がるよう、そしてよりクリエイティブな学校生活となるよう、I C T教育を推進しています。メディアルームにはドローン、レーザープリンター、86インチの大型電子黒板2台、スタジオ機能を備え、子どもたちの創造的な活動を支えています。初等部のICT(情報)担当はAppleに認定を受けたApple Distinguished Educatorです。ADEは学習環境とテクノロジーの統合を実現するエキスパートであり,教育界の革新を推進するためAppleと密接に協力し合っています。2024年度より本校のADEは3名となりました。
○英語学習
海外貿易の先駆者だった学園創立者の遺志を継ぎ、本校では開校当初より英語科を設置。外国文化の体験と理解にも重点を置いています。低学年は週1時間、3年生以上は週2時間です。4年生からはクラスを2つに分ける二分割授業をおこなっています。指導者はイギリスの公的文化交流機関であるBritish councilより2名のネイティブの講師を招聘し、2024年度より初等部の日本人英語専任教諭を加えて3名体制です。森村オリジナルのカリキュラムで行っています。海外の文化に触れながら楽しく英語を学ぶ中で、綴りと発音の関係性(phonics)を大切に、4つの技能(reading・writing・ hearing・speaking)の習得をバランスよく促します。British councilの教材開発力、教員の質の高さは全世界で定評があります。何より英語が好きになるようこと、英語をもっと学びたいという気持ちを大切にしています。5,6年生希望者対象に夏休みにオーストラリア(ブリスベン)の語学研修を行っています。
〇総合学習
総合学習は、教科の枠をこえて、自然や人、社会とのふれあいを通して学びを深めていく時間です。子どもたち一人ひとりの自主性や主体性を尊重しながら、生き生きとした学習の場をつくっています。「学校が楽しい」という気持ちを何よりも大切にする低学年では、自然にふれたり、身の回りのことに気づいたり、地域の人や出来事を通して社会とのかかわりを考えたりする中で、学びの芽が育っていきます。中学年では、仲間と協力しながら取り組む活動を通して、思いやりや社会性を培っていきます。ともに試行錯誤しながら一つの課題に向かうことで、人とつながる力を育んでいきます。そして高学年では、総合学習の探究的な学びがいっそう深まります。自分たちでテーマを設定し、自ら問いを立て、調べ、考え、仲間と意見を交わしながら課題の解決に向けて主体的に行動する力を養っていきます。このように、段階的に深まっていく総合学習は、子どもたちが自ら考え、未来を切り拓いていく力の土台となるものです。
○命の学習・命の授業・人間性を育む学び
「心の教育」は、特別な授業だけで育まれるものではなく、日々の学校生活の中でこそ大切にされるべきものだと、私たちは考えています。本校では、校訓である「正直・親切・勤勉」の三つの言葉を教育の柱とし、日常の関わりを通して子どもたちの心を育てています。たとえば、道徳や学級活動の時間には、自分の気持ちと向き合いながら「正直」に生きるとはどういうことかを考えたり、友だちの立場に立って「親切」な行動とは何かを話し合ったりします。また、掃除や係活動といった日々の地道な取り組みを通して、「勤勉」に責任を果たす姿勢を身につけていきます。こうした日常の積み重ねが、子どもたち一人ひとりの心の成長につながっていくと私たちは信じています。さらに本校では、学年に応じたテーマで心に深く残る特別授業も行っています。中学年では助産師や本校の管理栄養士と連携した「命を考える授業」を、高学年では弁護士を招いた「人権についての授業」を実施しています。こうした授業では、命の尊さ、自分自身を大切にする心、他者を思いやる視点など、かけがえのない価値を体験的に学びます。「自分の命はどのように始まったのか」「どう成長してきたのか」を知り、また、健康な心と体を育むために、日々の生活や食事をどう整えるかについても、丁寧に学んでいきます。
○専科制
英語に加えて音楽、図工、体育、ランゲージ・アーツは、1年生から専科制を採用。情操や創造力、表現力をより豊かに育んでいます。さらに中学年からは理科と社会、高学年では家庭科も専科とし、より密度の濃い教育を実現しています。またこの専科制は、子どもたちが担任以外の教員と交流することにもつながり、学園生活をより豊かで楽しいものにしています。
○算数T.T. 2分割授業
算数は、論理的思考力を育むうえでも重要な教科です。一つひとつの単元が次の学習の土台となるため、それぞれの内容をしっかりと理解し、確実に積み上げていくことが求められます。本校では、そうした学びの質を高めるために、学年に応じた指導体制を整えています。3年生では、複数の教員によるティーム・ティーチング(T.T.)を導入し、手厚く丁寧な指導を行っています。学びがより複雑で高度になる高学年に向けて、基礎力をしっかりと築いていくことを目的としています。さらに、4年生以降は学習内容が一層深まり、思考力・活用力が求められる段階へと進みます。そのため、4年生からは1クラスを2つのグループに分け、少人数での授業を実施。児童一人ひとりに目が届く、きめ細やかな指導を心がけています。また、3年生からは木曜日の放課後に「放課後学習会」(指名制・希望者)も開設し、自主学習や個別の課題に取り組む時間を設け、学びの定着とさらなる発展を支えています。
○週5日制
「ゆとりの教育」が叫ばれる前から週5日制を採用。学力の向上とゆとりある生活を両立させる、独自のカリキュラムを進めています。家族とのふれあいも大切にしながら社会性を培うことを重視し、人間形成に大きな成果を上げています。
○安全対策
本校では不審者の侵入を防ぐ装置を設置しており、正門には守衛が常駐して学園内の安全を守っています。初等部では、避難訓練や不審者侵入防止訓練、緊急時集団下校訓練を定期的に実施。また安全な登下校のために、交通道徳の指導を徹底させています。
■初等部6年間の学び
学びの楽しさと人間力を育む6年間。成長の喜びが広がる学校生活。
<低学年:毎日ワクワク!学びのはじまり>
「学校生活を始めたばかりの低学年の子どもたちにとって、学校の楽しさを実感することが何よりも大切です。一人ひとりが学校生活の主役として、学びや遊びに積極的に取り組めるよう、低学年には担任のほか、各クラスに担任助手の教員を配置し、休み時間を含めすべての授業は2人体制で支援し、進めます。
<中学年:新しいことに挑戦する、世界を広げる>
「仲間とのつながりを感じ始め、自己の考えを持つようになります。学習においては、具体的な内容から徐々に抽象的な思考へと進んでいきます。遊びの中心は、工夫次第でさまざまな楽しみ方ができる森です。林間学校は4年生から始まり、自然を体験する学習を通じて、人とのつながりの大切さを学んでいきます。」
<高学年:高い目的意識を持つ、自分を見つめる>
「委員会やクラブ活動が始まり、下級生との交流を通じて思いやりの心を育てます。学習では、さらに発展的な課題に取り組み、自分で答えを見つける喜びを実感します。広い校庭や体育館で行われる遊びも、ダイナミックで活気に満ちています。自我が目覚め、心の中で大きな変化が起きる中で、自律した人としての第一歩を踏み出します。また、5年生からはスキー学校が始まります。」
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