大阪聖母学院小学校 赤野孝一校長先生(当時)インタビュー
赤野 孝一校長先生
大阪聖母学院小学校の特徴を教えてください。
「愛の学校」です。
受験に対応する学力を身につけさせることは当然ですが、それ以上に「愛の教育」に力を入れねばならないと考えています。年間3万人を超える人が自分で命を絶つこの国で、私は子どもの笑顔が社会を変えると思っています。愛らしい1年生が入学してくると、それだけで学校中がいっそう明るく優しくなるものです。ですから、愛のある子どもを育てることで、何としても子どもの笑顔を守りたいと考えています。
私は去年から校長になりました。入学式を終えた後で1年生の子どもに「校長先生」と呼ばれて、ああ、私はこの子にとっては世界でたった一人の「校長先生」なのだと気づかされました。これが私の校長としてのスタートでした。「お父さん」「お母さん」もそうですよね。お子さまがお腹に宿った瞬間から「お父さん」「お母さん」になっていく責任が生じます。逃げることはできませんね。
忘れることのできないことがあります。昨年の6月のことです。ある子どもが「ただいま!」と言って登校してきたのです。少し驚いたのでそのわけを聞くと、「家が一番。でもこの学校には僕のことを分かってくれる先生がいて、僕のことを信用してくれる友だちがいる。なら、ここも僕の家やんか。」と彼は話してくれました。学校は「行く」ところであると同時に、「ただいま」と言って「帰る」ところでなければならないですよね。子どもたちは地域を離れ、重いランドセルに勉強道具と親の期待をいっぱい詰め込んで通ってくるのです。「行って良かった!」「ほっとできる!」私は本校がそういう学校でありたいと考えています。
卒業生達も「ただいま!」と言って帰ってきます。進学先で、就職先でいろいろな苦労があることでしょう。けれども私たちは温かく迎えるだけです。この伝統ある校舎の変わらぬ空気を胸いっぱいに吸い込んで卒業生はまた元気を蓄えて出かけていきます。
「どんなときでも私たちはここにいてあなたを出迎えます。人生は何度でもやり直せるのだから。必ず何とかなるよ!」そんなイエスさまのメッセージを卒業生達も分かってくれているのだと思います。卒業しても神さまに与えられた使命を果たせるように、そしてその素晴らしい笑顔を守りたいと願う学校でありたいと思います。まわりの人に笑顔を絶やさず、自分の使命を貫ける強い心をもった優しい子ども。これが、本当に人として「強い」ことは「優しい」ことだと考える本校が、育てたい子ども像です。
学習面での特徴を教えてください。
学習指導要領の削減は行わず、進学指導を視野に入れながら基礎基本を丁寧に指導しています。
算数では全学年で複数担任制をとっているほか、6年ではコース別指導も取り入れています。漢字指導では「読み先習」といって、4年の初め頃までに小学校で学習するすべての漢字の読みをフラッシュカードを使って習熟する取組をしています。これにより4年以降は図書室にあるすべての本が読めることになり、本好きな聖母の子どもの基礎になっています。また漢字ノートをきめ細かく指導することによってとめ、はね、はらいといった正しい書き方をしっかり指導したうえで、全校で「漢字検定」に取り組み、合格率も97%に至っております。
理科・音楽・図工・英語・家庭科・書道の指導には専科教員を配し、よりレベルの高い授業内容を実施しています。当然のことながら、高学年では中学校入試を視野に入れた習熟度別学習を積極的に取り入れ、受験対策にも力を入れています。子どもたちが持っている能力を最大限に引き出し、各々の使命に従ってそれをまわりの人のために役立たせる人生を歩んでいくうえで、受験はとても意味があり重要であると考えています。
現在1クラス30人体制ですが、来年度からは35人に増やします。若干男子よりも女子の入学者が多いのが常ですが、より集団のパワーを引き出してさらに活気のある学校生活を過ごさせていきたいと考えています。クラス人数が増えると、デメリットがあるのではとご心配のご家庭もあるかと思いますが、それ以上のメリットがあると考えています。
行事面での特徴を教えてください。
年間をとおして、カトリック教会の暦に合わせた宗教行事が随所にあります。単にクリスマスやイースターをお祝いするだけではなく、それに向けて自分の行動を見つめなおして自分中心の生き方をchangeしていく行動の実践に力を入れています。
また「まわりの人のために働く」ための生活能力と技術を身につけるため、合宿にも力を入れています。1年の校内合宿、2年のアクトパル宇治での校外合宿、3・4年の近江八幡での自然体験を中心とした縦割り合宿、5年は信州夏山体験・琵琶湖ヨット体験・オーストラリアでのホームステイ体験の三つから選ぶ選択合宿と栂池高原でのスキー合宿、6年は信州への修学旅行と受験が一段落した後の沖縄卒業旅行などです。
さらに10月の運動会(今年は4日)は、聖母ファミリーが一同に集まり大いに盛り上がる行事です。3学期には各学年が合唱や合奏を発表する音楽発表会、1年間の図工作品を2000点近く出品する作品展示会も特色ある行事です。
どのような子どもに育てたいですか。
「笑顔のよい子」を育てたいです。何を喜びと捉えるかをしっかり考える子になってほしいですね。
自分に与えられた使命を果たす事の出来る子どもに、育って欲しいです。自分は使命を果たすべく遣わされた貴重な存在であるという「自己肯定感」を持つ子に育って欲しいですね。
人生は辛いこともあります。収入が有っても、社会的に高い地位が有っても、心に満たされない物があるかも知れません。自分の使命を見つけていないのかも知れません。自分の使命を見つけるには、子どもの頃の「人に喜ばれる体験」が必要なのではないでしょうか。
本校では、使命に近づくための言葉として、「大好きがいっぱい」、「笑顔がいっぱい」、「いのちがいっぱい」という3つを掲げています。この学校で、たくさんの好きなこと、笑顔に出会って貰いたい。1番輝かないといけない子どもたちです。子どもたちは生きているだけで光りです。共に学び、共に在ることが喜びになる学校でありたいです。
これから小学校受験をされるご家庭に伝えたいことはどのようなことですか。
子どもの居場所は「家」でなければいけません。この居場所のないお子さんは落ち着きません。家庭教育が1番です。その上で学校教育があるのです。
ご家庭と学校が価値観を共有して、お子さんを教育していきたいと思います。ですから、本校の教育方針をよく理解した上で、受験して頂きたいのです。家庭内の人間関係が出来ていないお子さんは、学校での人間関係もうまくいきません。まずは、温かい家庭を築いてください。
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