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小学校受験新聞TOP「新傾向の問題にどう取り組むか」 2015>第10回

 

掲載 2015年10月22日

 

第10回 (終)

 受験勉強を生かすために

 

 

  

 

神奈川の学校ではすでに入試も始まり、都内の学校も11月1日から始まります。これから始まる入試は、どのように行われていくのでしょうか。ある程度予想はできますが、小学校側もいろいろ工夫した問題を出題してくると思いますので、新出問題がかなり増えるはずです。
しかし、これまでの分析で明らかにしたように、新しい入試の流れに沿って問題が作成されていくことはだけは間違いありません。最近の傾向を踏まえ、どうしても外せない入試問題もう一度ここに列挙しますので、最後のまとめとして参考にしてください。

 

 

最後にもう一度確認しておきたい入試問題

1.未測量
シーソー4者関係
つりあい
単位の考え方
関係推理(じゃんけんによるもの)

 

2.位置表象
つみ木を使った四方からの観察
地図上の移動
飛び石移動
観覧車(2つ出題タイプ)

 

3.数
一場面を使った総合問題
数のやりとり
交換(重さ・値段など)
魔法の箱(連続変化)

 

4.図形
三角パズル(大・小)
図形分割
線対称(折り紙、半分描き)、
重ね図形(2つの重ね方)
回転図形(自分で描くもの)

 

5.言語
言葉つなぎ
しりとり
同音異義語

 

6.生活
季節の順序

昔話
標識

  

〈こぐま会のホームページでも紹介しています〉 http://www.kogumakai.co.jp/column/president/503.html

 

 

私自身の43年間の現場指導を振り返ってみると、小学校の入試問題も幾度かの改訂があり、入試問題も相当変化してきました。時代の要請や、学校側の事情もあったことでしょう。
変遷の過程は、

1.知能テストが入試問題に採用されていた時代
2.大量のペーパー問題を課していた時代
3.ペーパー試験を全くなくしてしまった時代
4.ペーパー試験・行動観察・面接とバランスよく組み合わせた、今の時代

試験の方法だけでなく、試験の内容も変化してきました。それは、視点を変えて見れば「学力観の変化」ということでもあります。以前のコラムでも書きましたように、大学入試も含め、これから行うすべての入学試験の在り方が議論されていくはずです。その際「認知能力」だけでなく、「非認知能力」も重視しなければならないという流れは、今後も強くなっていくことでしょう。その意味で、ペーパー試験のみで合否が決まっていかない小学校入試は画期的であるとさえ言えます。その入試で何が求められているか。それを一言で言い表せば、ペーパー試験では「視点を変えてものごとを見る柔軟な思考力」、そして、行動観察では「ものごとに取り組む主体性と自立した判断力・表現力」が求められています。その上で、総合された力として、小学校生活を支えて行くレディネがどれだけ備わっているかが判断されているはずです。また、外国の人たちが評価する「日本式教育」の良さの一つである「他人の立場に立ってものごとを考えられるか」といった観点で、学力も行動も評価されているのだと思います。

小学校入試で出題される問題は、振り落すための難問・奇問ではありません。将来の学習を想定した実に基礎的な良問ばかりです。その問題を解くために、これまで1年以上取り組んできたと思います。この経験を次のステップに繋げるために、ぜひ基礎学習は入試後も続けてください。これまでの学習が本当に生かせるのはこれからです。集中して考える姿勢や、学ぶ習慣も身に付いたはずです。どうか、入試が終わったとたんに終了してしまわないで、これまでの受験勉強の経験を生かし、学び続けていただきたいと思います。私は「6歳までで全てが決まる」とは言いませんが、少なくとも幼児期の基礎教育がそれ以降の学力に相当影響していることだけは事実です。

 

 

6月から執筆させていただいたこのコラムも、今回を以って一旦終了いたします。今年の入試が一段落し、出題された問題が明らかになってくる来年1月以降に入試問題の分析を兼ねて、また書かせていただきます。これまで継続してお読みいただいた方々に、この場をお借りして御礼申し上げます。

 

 

 

   

 

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