|
この夏休みに相当がんばったつもりですが、模擬テストの点数が思ったほど伸びません。とくに、位置表象に関する問題が苦手です。残り少ない時間ですが、どのような学習が有効でしょうか。 |
久野泰可先生からの回答
空間認識は将来の図形教育の土台になります。私たちが設けている「位置表象」の領域は、生活の中で必要とされる位置関係、すなわち「上下」「前後」「左右」の関係を踏まえて、空間認識を育てる課題をたくさん設けています。基本的な位置関係の中では「左右関係」の理解がポイントになります。自分の右手・左手の理解からスタートし、相手の右手左手の理解、上下と組み合わさった「上下左右関係」、すなわち方眼を使った課題がこれにあたります。また、前後と組み合わさった「前後左右関係」、いわゆる「四方からの観察」があります。その他に「地図上の移動」も大事な課題です。ですから位置表象に関する難しい入試問題のほとんどは
1 左右関係の理解
2 方眼上の位置及び移動
3 四方からの観察
4 地図上の移動
の4つの中から出題されています。
では、この4つの課題の学習ポイントを掲げてみましょう。
1左右関係の理解
自分の「右手・左手」の理解はもう大丈夫でしょう。自分以外の「右手・左手」になるとまだ戸惑う子も見られます。とくに向かいあった人の右手左手が、自分とは逆になるということの理解がしっかりできているかどうかです。実際の場面で友達の右手左手が分わかっても、絵に描かれて人物になると、完璧にできるわけではありません。どちらを向いているかを踏まえ、考えることが大事です。年中の頃は、自分の右手左手すらもあやふやで、ましてや自分以外の人の右手左手などとても難しかったようですが、今では、ほとんどの子が苦労したことも忘れ、自信を持って取り組んでいますから大丈夫でしょう。手以外に、足や履物についても左右が問われることもありますので要注意です。
2 方眼上の位置及び移動
上下と左右の組み合わせで決まる方眼上の位置と、方眼上を指示通りに移動する課題の二つがあります。方眼上の位置の説明は問題ないと思いますが、方眼上の移動は、記憶の要素等も含め間違いやすい課題です。方眼上の移動は、言葉の指示による移動だけでなく、音の約束による移動もありますので、目で追いかける等の練習が必要です。また、今後の課題としてスタート地点から到達点を探す従来の問題だけでなく、到達点からスタート地点を探す問題もいずれ出題されてくるでしょう。方眼上の移動における「逆思考」の問題といえます。
例えば、次のような問題になります。
「あるところからスタートして、右に3、上に5、左に2、動いてクマのいるところにつ着きました。さてどこから出発したのでしょうか」この問題を解くには、逆戻りし、右に2、下へ5、左に3、動いたところを探せば良いわけですが、戻るという発想はとても難しいものです。一度やってみてください。
3 四方からの観察
「四方からの観察」は、前後―左右関係の理解ともいえます。あるものを、4つの違う場所からみた時に、どのように見えるかを、その場にいかないで理解する問題です。
とくに反対側からみた時、自分とは左右が逆になるという点がポイントです。以前は、そこに置かれるものが、具体的な生活用品が多かったのですが、最近では、つみ木のような「半具体物」が使われることが多く、正面に見える形で問われる関係で奥行きがなくなる分,描かれた図形の読み取りが難しいようです。方法としては、正しいものを選ぶ場合と、自分で描き表す場合とがありますが、自分で描き表す練習を繰り返してください。最近のつみ木のような場合は「上からみたら・・」という問題もあります。また、鏡の映り方と反対からみた場合の見え方を同時に問いかける問題もありますので、その違いをしっかり学習してください。
4 地図上の移動
地図上を移動する問題には、3つの問いかけ方法があります。まずこれをしっかり踏まえて学習してください
@ 地図を見ながらお話を最後まで聞き、どのように動いたかを記す方法
A お話を聞きながら、すぐに地図上を移動する方法
B お話の内容理解の中で、地図上を移動する問題が出てくるため、地図を見ないで話を記憶し、話が終わった後初めて地図が見て移動する方法
どれが一番難しいかは一概に言えません。
@とBは、話をしっかり覚えていなければならない分、記憶の要素が強く求められます。またAは、話を聞きながら動く関係で、記憶の要素は少ないけれども、交差点での曲がり方をとっさに判断しなくてはならない分、戸惑うことが多く見られます。戸惑っているうちに話がどんどん進んでいくため、聞き取れなくなってしまうようです。@の方法が一般的ですが、AやBの方法でも実際に出題されていますので、どんな方法で問われても戸惑わないように練習してください。
以上よく出題される4つの課題について、学習ポイントをお伝えしましたが、どんな場合でも「左右関係の理解」が決め手になりますので、その点をしっかり踏まえて、最後のまとめをしてください。
最新 久野先生のコラムはこちら (こぐま会HP 室長のコラム)
こぐま会教材はこちら
推薦コラム
|
学習相談Q&A質問45「地図上の移動」
こちら |
子どもはどこでつまづくのか40
こちら |
|
☆こぐま会トピック
・31期生生徒募集 こちら
・こぐまオリジナル教材取り扱い書店 こちら |
|