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小学校受験新聞TOPこぐま会 久野先生に聞いてみよう!2012>第7回

こぐま会代表 久野泰可先生に聞いてみよう! 2012


第7回

掲載 2012年8月4日

図形領域の対策は、どのように考え、この夏は何を中心に学習すればよいのでしょうか。

 

 

 久野泰可先生からの回答

  

 

小学校の入試において、数・図形・言語の3つの領域は、将来の算数科・国語科とのつながりから、入試問題の中心にならざるを得ません。どの学校も、この3つの領域から多くの問題を出題していますが、学校によっては、数が中心であったり、逆に数の問題がほとんど出されず、図形の問題が中心であったりする場合があります。数の問題がある程度パターン化しやすいのに比べ、図形の問題は、オリジナルな問題が作り易く、その分、子どもたちにとっては、厄介な問題が多いということになります。
入試全体としても、最近は数の問題が減る傾向にあるのに対し、図形の問題が増えている傾向にあります。

図形の問題は、数に比べ、入試問題を分析する単元が設定しづらい面がありますが、それでも図形における基礎学習を考えると、基本となるいくつかの単元で分析していくしかありません。その基本となる学習単元は、以下の通りです。

1. 基本図形の特徴(平面・立体)
2. 同図形発見
3. 図形模写
4. 図形構成(平面構成・立体構成)
5. 図形分割
6. 対称図形
7. 重ね図形
8. 回転図形

これまでの図形課題は、入試問題の半分以上が「図形構成・図形分割」で占められていましたが、最近の問題傾向として「対称図形・重ね図形・回転図形」といった、従来からある難しい課題が出題の中心になってきているように思います。具体的に見てみましょう。

 

 

 

◆横浜雙葉小学校(2012年)線対称


上のお部屋を見てください。おり紙を縦に半分に折って、真ん中の太い線をはさみで切って開くと右のように2枚になります。
・下のようにおり紙を三角に半分に折って、太い線のところで切ると何枚に分かれますか。その数だけ下のマスの中に○をかいてください。

 

◆聖心女子学院初等科(2011年度)線対

 

あいちゃんは、おばあちゃんと鏡で遊ぶことにしました。
・左のお手本を右の黒いところに置いて、鏡に映すとどのように見えるでしょうか。お日様のマス に青でかいてください。

*実際の試験では、月や星の絵に鏡を置いて、どのように映るか子どもに見せてからの出題でした。

 

 

◆白百合学園小学校(2011年)重ね図形・線対称

左側と右側には、それぞれ丸い穴が開いていると考えてください。
・左側と右側を矢印で折って真ん中に重ねると、どの果物が穴から見えるでしょうか。その果物に○をつけてください。      
(ミカン、ブドウ、バナナ、スイカ、カキに○)

*試験では穴のあいたカードが実際にあり、折った時に穴からのぞく果物を推理して指差して答え る問題でした。

 

 

◆日本女子大学附属豊明小学校(2012年度)重ね図形

 

左の2つの形を回転させて●印のところを合わせて重ねます。どんな形になるでしょうか。右から選んで○をつけてください。

 

◆暁星小学校(2010年)回転図形

 

・上の形を見てください。灰色のマスの上にのっている形が、矢印の方向に★の数だけ転がります。形はどうなりますか。下のお部屋からそれぞれ選んで○をつけてください。

 

 

 

前述したように、図形問題はパターン化しにくいので、出題された問題を繰り返し練習しても、図形的な感覚は身につきません。
それぞれの問題の基本は何かを考え、それを繰り返し練習し、同じような趣旨の問題が出題されても対処できるようにしておかなくてはなりません。では、最近よく出される課題の基礎とは何か、実際の授業で行っている学習法を紹介しますので家庭でも実践してみてください。

○対称図形・・・折り紙を使った練習
対称図形の基本は、折り紙を2つ折りもしくは4つ折りにしてあるところを切って開いてみた時、どんな形ができているかを考える問題です。実際に折り紙を使って切らせてください。また、鏡の問題も対称図形の一つとして捉えておく必要があります。右半分ないし左半分がどのように映るかを考えさせることを通して、対称図形の考え方を身につけておくことが大事です

○重ね図形・・・実際に重ね合わせることを通して、重ね方に二つの方法があることを学ぶ
透き通った紙に書いた形(こぐま会ではOHP用の透明シートを使用しています)を二つ以上重ねるとどうなるかを実際にやってみることが基礎練習です。この場合、重ね方が二つあり、一つは、そのまま上に重ねる場合、もう一つは、半分に折って重ねる場合です。この半分折りの重ね方が難しいために、重ね図形全体が難しくなっているのです。対称図形の考え方を生かしながら、半分折りの重ね図形を繰り返し練習してください。

○回転図形・・・回転つみ木で感覚を磨く
回転図形の練習は、一つは立方体つみ木の4つの側面に色をつけ、右に何回回すと上は何色かを考えさせる問題です。またもう一つは、立法体つみ木の正面に書いてある形や絵が、つみ木を回転させることによって、どのような向きになるかを考えさせる練習が有効です。

 

最近の入試では、対称図形・重ね図形・回転図形の3つがよく出題されていますが、従来から入試問題の中心であった「図形構成―図形分割」も大事な課題です。
「構成―分割」をセットに、三角パズルだけでなく、いろいろな素材を使って練習してください。
最近よく出るこの3つの課題は、ペーパー練習だけで解決しようと思ってもできません。折り紙や、透き通った紙に描いた形、回転用のつみ木と、具体物に触れながら問題の意図・解決法を伝える努力が必要です。図形感覚はそうした働きかける試行錯誤によって育っていくため、ぜひペーパー学習の前にそうした経験を積ませてください 。

 

   

 

 

最新 久野先生のコラムはこちら (こぐま会HP 室長のコラム) 

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 室長コラム 第345号「図形問題の変化は、何を意味するか」  こちら
 教育レシピ39 「重ね図形・回転図形」  こちら

 

 

 

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