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小学校受験新聞TOPこぐま会 久野先生に聞いてみよう!2012>第6回

こぐま会代表 久野泰可先生に聞いてみよう! 2012


第6回

掲載 2012年7月21日

夏休みは、受験生にとって最大のヤマ場だと言われていますが、どんな考え方で家庭学習を進めればよいでしょうか。

 

 

 久野泰可先生からの回答

  

 

夏休みが受験生にとって最大のヤマ場だと言われる理由は、いくつかありますが、入試まで残り少なくなったとか、夏休みは時間がたくさんとれるから・・・・といった理由ではありません。
これまでの学習を踏まえて、飛躍的に学力が伸びる時期であり、1時間の学習が持つ意味が、それまでの期間の数倍に匹敵するからです。時間をたくさんかけて、学習できるからではなく、これまで以上に「思考力」が要求される問題に挑戦できるからこそ、最大のヤマ場なのです。

 

この貴重な夏休みを、有効に使うために、最初に知っておかなくてはならないのは、夏休みの学習が、やり方次第でマイナス効果になる場合もあるということです。
毎日を勉強漬けにしてしまったら、子どもたちは窒息してしまいます。「よく遊び、よく学び」をメリ張りつけて実行しなければ、必ず夏休みの終わった9月にその反動がきます。
今までも親の頑張りと反比例して、子ども自身が意欲や自信をなくしていく姿をどれだけ沢山見てきたことでしょう。親の焦りに乗じた商業主義によって、それまで大切に積み上げてきた意欲や学力が潰されていくケースが後を絶ちません。そんなことにならないよう、しっかりとした考えで夏休みの学習計画を立ててください。
その際に大事なことは、子どもの学力の現状や受験する学校の出題傾向、入試全体として今何が問題になっているか・・・そうした客観的な事実を把握しておくことです。入試の現状も、子どもの学力の現状も知らないまま、がむしゃらにペーパー学習をさせても効果は上がりません。冷静な目で、現状を分析しておくことが必要です。

 

この夏にやらなくてはならないことがいくつかありますので、それを列挙します。

@ 子どもの学力の現状をしっかり把握すること。何を分かっていて、何が分からなくなっているのか。ペーパーは出来ているけど、本当に分かっているのかと一度疑ってみる必要があります。とくに基礎的事項についての理解に不安はないのか、それをチェックすること。本当に分かっているのかどうかは、理由説明をさせることで分かります。

 

A 夏休み中に、難しい過去問に挑戦させてください。ただし、難しさにおいても、理解の仕方に順序があるため、手当たり次第にやらないことです。過去問も難易度の点でしっかり系統化させて、練習することが大事です。また、志望する学校の問題だけをやって安心しないこと。最近は、ある学校で出題された新しい問題が翌年違う学校で出題されるというように、波及速度が速まっています。入試全体として今何がトレンドか。そこをしっかり把握し、練習問題の選択においては、学校の枠を超えることが必要です

 

B お泊り保育に象徴されるように、年長のこの夏の経験は子どもの成長を大きく促します。自立心と意欲を育てるために、生活目標を立て、それを子ども自身に管理させるような「がんばり表」を作ることが望ましいでしょう。

 

C 認識を定着させるために必要なことは、試行錯誤させること、反復練習すること、そして声を出して説明させること(言語化)です。また、積み上げてきた同じ学習方法で繰り返し徹底することが大事です。その繰り返しの家庭学習が基本的に不足している子どもが大勢見られます。おけいこや塾の掛け持ちで、家庭学習の時間が無くなることは絶対に避けなくてはなりません。もっと家庭学習の意味と効果を理解すべきです。その際の家庭学習の教材は、きちんとした考え方で構成されているものを使わなければいけません。

 

D 次に掲げる内容は、入試において「出来−不出来」の分かれ目になる問題です。この夏に繰り返し練習してください。

未測量・・・シーソー・つりあい

位置表象・・・四方からの観察・地図上の移動・飛び石移動

数・・・・・・一対多対応・交換・数のやりとり・数の逆思考

図形・・・・・三角パズル・積木の変化・線対称・重ね図形

言語・・・・・一音一文字・しりとり・言葉つなぎ・長い話の内容理解

その他・・・法則性の発見(観覧車・魔法の箱)・関係性の理解(じゃんけん)

 

子どもの理解力は、ある時期に飛躍的に伸びることがあります。それを信じて、この夏休みを有効に使ってください。
模擬テストを通して子どもに実践的な経験を積ませることは必要なことですが、入試レベルの難易度をはるかに超えた問題ができないからといって心配する必要はありません。入試の現状をよく反映した模擬テストであるかどうかを見極めて受験してください。

 

 

   

 

 

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