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言語領域の問題が最近変化していると聞きますが、どのように変わっているのでしょうか。
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久野泰可先生からの回答
小学校以降学ぶ国語の学習は、「聞く力」「話す力」「読む力」「書く力」の4つの柱で内容が構成されています。その中で、小学校入試においては「聞く力」と「話す力」に関する内容が出題の中心になりますが、もう一つ大事な「言葉の理解」に関する問題もあります。聞く力は「話の内容理解」として、また話す力は「お話作り」として問題が作られています。この3つの柱で小学校入試の問題を分析していくと、最近出題内容が変化し始めていることに気づきます。それは以下のような点においてです。
1)
話の内容理解は全体として話が長くなり、質問の内容も従来のように「登場人物」「順序」「数」「登場人物の行為」の4つとは違った質問が増えています。また、市販の絵本や、学校が独自に作成したオリジナルの長い話を使って、お話を途中で区切りながら、その内容に関連したすべての領域の問題を問いかけていく方法も採用され始めました。そのため質問の内容は、数の問題があり、図形の問題があり、理科的常識の問題があり・・・と多岐にわたっています。
2)
お話作りは話す力をみる問題であり、昔から4枚の絵を時系列に並べてまとまったお話を作る形式がほとんどでしたが、最近は絵カードの数が3枚や2枚に減り、極端なところでは1枚の絵だけを使ってお話を作るという問題も出始めています。とくに最近は3枚のうち最初と最後があらかじめ絵になっていて、真ん中の絵が隠されていて、そこで起こったことを自分で想像してお話を作るという問題が増えています。
中でも、前と後ろの表情の変化を読み取って、なぜ怒っている子が笑ったのか、なぜ笑っていた子が泣き始めたのかといった具合に、真ん中で起こった事象を想像して話をつくるといった問題が増えています。自分自身の経験を重なり合わせて話を作ることが、求められています。
3)
言葉の理解に関する問題は、品詞に分けて考えると分析しやすいと思います。
「名詞」「動詞」「形容詞」「副詞」等、小学校で学ぶ文法の内容に整理するのが手っ取り早いのですが、その中でも出題が一番多いのが、「一音一文字」「同頭音」「同尾音」「しりとり」といった主に名詞に関する問題です。その中でも「しりとり」に関する問題はいろいろ工夫されて難しくなっていますが、それがもう一つ変化し、下から2番目の音でつないだり、真ん中の音でつないだりと、「しりとり」とは違った「ことばつなぎ」へと発展しはじめました。
要するに、文字指導の一番基礎にある「一音一文字」の考え方が、いろいろな角度から問われていると考えておく必要があります。
はじめが何の音かを問う「同頭音」、最後が何の音かを問う「同尾音」、その発展として前の言葉の最後の音を 次の言葉の頭に持ってくる「しりとり」とつながっているわけです。そのため、最後から2番目の音でつなげるというのは、しりとりの発展と言うより、どこに何の音がつくかという「一音一文字」の応用として考えておく必要があります。
20年前にはほとんど出題されなかったこの「一音一文字」が、今では言葉の理解に関する入試問題の中では、中心的存在になってきたことを考えると、この問題はまずます形を変えて発展していくのではないかと思います。予想問題を考えるとしたら、この「一音一文字」がキーワードになるはずです。
さてこうした傾向を踏まえ、言語領域の入試対策はどのように考え行えばよいのか考えてみましょう。
次のような観点で家庭学習を進めるのが、現在の出題傾向に見合った対策です。
1.読み聞かせは毎日行う。テストのように細かい質問はする必要はないが、どんなお話だったか、どこが面白かったかなど、内容について子どもと話し合う
2.言葉の理解に関する入試問題は、その出題方法も含めて多岐にわたっているが、中心は「一音一文字」の理解であるので、そこをしっかり学習しておく
3.「しりとり」問題は、ほとんど出尽くしてしまった感じがするが、しりとりのルールをしっかりつかむ意味においては「頭取り(逆しりとり)」を、カードを使って行うのが効果的である
4.話す力を求める方法として「お話し作り」があるが、その前提として自分の気持ちや考えをことばで相手に伝える経験を普段から積み重ねることが大事である。コミュニケーション能力が今の子どもたちは劣っていると学校側はみている傾向があるので、それに関する問題が今後増える可能性は高い
5.文字を読ませたりする問題も出始めているが、特別な練習をするほど難しいものではないので、今のところは、文字の読み・書きは基本的には入試では問われないと考えておいてよい
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