第24回
神奈川の学力試験ももうすぐ始まります。都内の私立小学校も、すでに受験票が手元に届き、面接試験に続き、2週間後には、子どもたちの学力試験も始まります。直前に来て、あれもこれもと、時間がなく焦る気持ちも分かりますが、これまでのリズムを変えないで、最後まで同じやり方で学習し続けることが大事です。勉強量を増やしたり、逆に間近だという理由で、のんびりさせ、何もさせないというのも効果的ではありません。ともかく前日まで、これまでと同じやり方で学習し続けることが大事です。ここにきて、自信をなくすのが一番いけません。子どもたちが入試をどう受け止めているかは、保護者の皆さんの接し方如何ですが、普段と違うまわりの様子を感じとり、子ども自身もかなり緊張しているのも事実です。ここにきて、軽度のチック症状を見せる子が増えているのもその表れでしょうか。
これから入試までは、心と体の健康をどう維持するかが最大の課題です。しかし、入試が近いからと言って、幼稚園や保育園を休ませることのないようにしてください。健康であれば、普段と同じ生活を最後まで続けることが大事です。子どもたちにとって、生活の大半を過ごす、園での生活を取ってしまったら、心のバランスを崩すことにもつながります。友達に会って、元気良く遊ぶことも、心の健康管理には必要です。休んで勉強させても、安心するのは親だけで、それと引き換えに、子どもの活力を奪ってしまうことにもなりかねません。心の健康管理で大事なことは、普段の良好な人間関係で支えられているということであり、親と一日中向き合う生活が、子どもにとってどれだけストレスにつながるか、それを考えれば、自ずから分かることです。親子関係をどう良好に保つか・・・これも大事な点になります。
入試直前になって行う効果的な学習法は、以下の通りです。
@
問題の指示が正確に聞き取れたかどうかをチェックする練習をしてください。やり方は、ペーパー問題を前に、質問した内容について、こんな風に聞いてみてください。「お母さんがやってみるから、今の問題、どんな問題だったか説明して・・」と問いかけてみることです。ここで、きちんと説明できれば、問題の意図は正確に伝わったと判断できますが、ここができていないケースが意外と多いのです。
A
暗算練習を毎日5分行ってください。指を使わないで数の操作ができないと、まず時間が足りなくなるケースが目立ちます。とくに話の内容理解の中で問われる数の問題は、どうしても暗算が必要となります
B
常識問題は最後まで練習する意味があります。最近多くの学校で、常識問題を出題しています。これは、入学後の「生活科」につながる内容ですが、「知識」が問われるため、最後までやり続ける意味があります。とくに最近は、昔話と季節に関する問題が多いようです。
C
ペーパー問題で差がつくのは、時間制限内にどれだけできるかというスピード性です。意識を植え付ければ相当改善される課題です。とくに、作業を通して答えを導きださなければならない「表を見ての数の組み合わせ」、「飛び石移動」、「分類計数」、「じゃんけんの結果を読み取っての数のやりとり」、「半分折りの重ね図形」等、個人差が大きく出る課題については、繰り返し練習する必要があります。
D
シーソー・飛び石移動・四方からの観察・一対多対応・交換・数のやりとり・一音一文字に関する応用問題・個別単位に関する問題・対称図形・重ね図形・法則性の理解・・・・・こうしたテーマが入試全体として今一番出題されやすい状況にありますので、もう一度確認してください。
細かい点になると、他にも沢山ありますが、まず以上の点を徹底し、点に結びつく「直前学習」を進めてください。
今回を持ちまして、1年間書き続けてきました、「合格のための正しい学習法」を終了させていただきます。毎回お読みいただいた皆様にとって、少しでも役立つことができたとすれば幸いです。
子どもの教育は途切れることなく続きます。小学校入試はその過程のひとつにすぎません。1年間入試に向けて頑張ってきた学習を無駄にしないよう、これからも学び続けてください。
小学校受験はともすると特殊な教育と見られがちですが、私は、幼児期の基礎教育の最大の動機づけだと考えています。これまで、家族一丸となって取り組んできた経験を、これからの長い学校生活の「学びの環境づくり」のスタートとしてください。どんな結果になろうとも、それを冷静に受け止め、次の目標に向かって、また歩み始めてください。
2013年10月15日 こぐま会代表 久野泰可 |
最新 久野先生のコラムはこちら (こぐま会HP 室長のコラム)
こぐま会教材はこちら
推薦コラム
|
室長コラム 第361号「がんばれ受験生」
こちら |
室長コラム 第224号「受験期の学習を教科学習にどう生かすか」
こちら |
|
☆こぐま会トピック
・年長児対象「国立附属6校小学校合格対策講座(こぐまなでしこ教室)」 こちら
・年長児対象「国立附属6校小学校合格突破模試(こぐまなでしこ教室)」 こちら
・年長児対象「こぐま会小学部」 こちら
|
|