第20回
最近の入試問題を分析していくと、それぞれの学校が特色ある問題を出題しているというより、どちらかというと、各校共通して好んで出題している問題があることに気づきます。
昨年は、「つみ木を使った四方からの観察」が、その典型でした。こうした現象は、学校間に繋がりがあり、協議して問題を作っているというわけではありません。それなのに、各校共通して「新傾向」の問題が出てくるのは、なぜでしょう。
その理由の一つに、各学校が問題を作る際に、他校の問題を相当深く研究し、分析していることが考えられます。自校の過去問よりも、他校の工夫された問題をよく検討しているのではないかと思います。以前ある学校で、「量の三等分」の問題がはじめて出題されたことがありました。その後3年ほど経つと、「量の三等分」が、いくつかの学校で取り上げられました。このように、ある学校で出題された新しい問題が、他校に波及していくことはよくありましたが、そのスピードは、数年かかりました。しかし、最近では、ある学校で出題された新しい発想の問題が、次の年には他校で出題される・・・というように、波及するスピードが、以前とは比べものにならないくらい早くなりました。
こうした現象を踏まえると、入試対策として受験する学校の過去問だけをやればよいというわけにはいきません。突然新しい問題が出題されることは十分考えられ、また今後もそのような新しい傾向の問題が、各校で出題される可能性は相当高いでしょう。では、どんな問題が、最近共通してよく出題されているのか、ここに紹介します。
1 未測量
単位の考え方・つりあいの応用・ジャンケンを使った関係推理
2 位置表象
つみ木を使った四方からの観察・飛び石移動
3 数
交換に関する応用問題・一場面を使った数の総合問題
4 図形
三角形を基本とした図形構成・正方形を基本とした図形構成・線対称
5 言語
言葉作り・言葉つなぎ
それぞれの問題には、ある学校で最初に出題された典型となる問題があります。それがいろいろ発展し、今日の問題になっています。これらの問題には、「機械的な教え込みはできない」という共通点があります。「考える力」が求められる、とても工夫された問題ばかりです。
こうした問題が、今、小学校入試で問われている「新傾向の共通問題」を形成していますし、しかも、一定の難易度を保っています。こうした問題を解決するには、基礎がしっかりできていなければなりません。
基礎も応用もなく手当たり次第にペーパー学習のみをやってきた子どもたちには大変高い壁として立ちはだかります。
この高い壁を乗り越えるには、一枚一枚のペーパー問題を大事にし、答えの根拠を説明させるような取り組みをしていかないといけません。
そうした学習は、9月半ばまでがチャンスです。毎日ペーパー問題を何十枚もこなすようなスピードを重んじる学習では、決して身につきません。一つの課題を深く理解すること・・・そのことによって考え方がしっかり身に付き、今後予想される新出の問題に自信を持って対処できるはずです。
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