第19回
すでに多くの学校で学校説明会が実施され、今年の入試日程を踏まえて、どの学校と併願できるかどうかが、明確になってきました。しかし、実際に受験票を受け取るまでは確定できず、最後まで気をもむことになりそうです。同じ学校を出願したのに、Aさんは3校とも受験できて、Bさんはそのうちの1校しか受験できなかったという事例をたくさん見てきました。それは、受験番号のつけ方が学校によってまちまちだからです。50音順に番号をつける学校もあれば、月例順に決めたり、また、郵送の場合でも、到着順につける場合だけでなく、到着したものを混ぜ合わせてつけたりと・・・・早い受験番号をとりたくて夜中から並んで、本局に早く出しても、結局遅く出した方が早い番号が取れたりする場合もあるのです。また、子どもの試験は日時がずれて受験可能なのに、試験以前に行われる面接試験でぶつかってしまい、どちらか一方しか受けることができなかった・・・・ということも実際に起こっています。
こうした日程上の問題には、多少運不運があるかもしれませんが、併願する場合の問題点は、むしろ試験日程の問題より、複数校受ける場合の学習対策のあり方です。
例えば次のような場合です。
1.
第一志望校は、ペーパーを使わない個別テスト中心の学校なのに、第二・第三志望校がペーパーテストを重視の学校の場合
2.
両校ともペーパーテストはあるが、第一志望校の方が基本的な問題が多く、第二志望校の方が難易度の高い問題を出題する学校の場合
3.
第一志望校は、未測量や位置表象の問題がほとんど出題されないけれども、第二志望校では、未測量や位置表象の難しい問題が多く出題されている場合
4.
第一志望校は、運動課題がほとんどでないが、第二志望校では、運動をもとても重視している場合
5.
第一志望の学校は丁寧さを求めているのに対し、併願校はスピード性を重視しているような場合
こうした出題傾向の違う学校を併願で受験する場合の学習対策は、様々な角度からの検討が必要です。しかし、どんな場合の組み合わせでも、以下の原則は守って学習する必要があります。
1.
入試で問われる全ての領域の課題について、基本となる考え方は、しっかりと身につける。その場合、過去問を教材に使うのではなく、それぞれの領域の基本を身につけるために開発された問題集や教材を使うことが望ましい。また、未測量・位置表象・数・図形・言語の五領域は、過去問にあるなしに関係なく、学習対象とする。
2.
どこの学校で出題された−出題されてないに関係なく「幼児期の基礎教育」の中味として、5領域の内容を受け止め、自らの力で解いて行けるように、試行錯誤する時間を大切にする。
3.
併願する学校も含め、受験する学校の出題傾向をしっかり分析し、問題の難易度をあらかじめ把握しておく。
4.
また、各領域の一番難しい問題がどんなものかをしっかり把握し、そこにいきつくまでの学習の積み上げをしっかり行う。
5.
ペーパーテストがあるかないかは、それほど問題ではない。どんな問題が、どのような形で問われているかをしっかり把握した上で、ペーパーでも口頭でも答えられるように練習しておく。ペーパーを使わない方が、むしろ難しい場合が多い。
6.
ペーパーテストのない学校の対策として、口頭で考え方を説明させる。また、「記憶問題」や「お話づくり」に力を入れたトレーニングを積む必要がある。
7.
受験する学校の過去問には必ず取り組ませる必要があるが、最近では、多くの学校で共通して問われる問題があるため、それもしっかり把握しておく。
8.
できれば、雙葉小学校と筑波大学附属小学校の問題には、どの学校を併願するにも取り組んでおくことが望ましい。小学校入試の問題作りをリードする学校であるからだが、最近では、聖心女子学院初等科の問題に注目しておく必要がある。
こうした、いくつかの原則を踏まえて、具体的な学校の組み合わせを前提に、学習方針を立てる必要があります。第一志望校の学習対策を中心にしながらも、併願校についても、しっかりとした対策をしなければ、合格を勝ち得ることはできません。しかし、受験するすべての学校の問題を同じように抱え込むことはできませんので、上記述べたような点を考慮しながら、学習を進めてください。
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