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小学校受験新聞TOP「合格のための正しい学習法」 2013>第13回

こぐま会代表 久野先生からのアドバイス

掲載 2013年5月6日

第13回

 一場面を使った数の総合問題

 

 

  

 

最近の入試で問われる、数に関する問題の中心は「交換」問題に象徴される「一対多対応」であることは、以前(第09回のコラム)お伝えしました。一方で2013年度の問題を見ると、学校を問わず、数領域の出題傾向の一つに「一場面を使った数の総合問題」があることが分かります。その総合問題で、どんなことが問われているのか、実際の問題を見てみましょう。

 

T校 <数の総合問題>
・池に魚が2匹います。そこへ、別の3匹が川から泳いで池に入ってきました。今、魚は何匹になりましたか。その数だけ魚のお部屋のマスに○をかいてください。

・木に登っていたリス6匹のうち、2匹が帰りました。しばらくすると、また3匹帰りました。今、リスは何匹いますか。その数だけリスのお部屋のマスに○をかいてください。

・池にワニが2匹いました。池の外にいるワニが4匹全部池に入りましたが、1匹はすぐに池から出ました。池の中のワニは何匹になりましたか。その数だけワニのお部屋のマスに○をかいてください。

・ウサギ5匹が、花の周りを飛んでいるチョウチョを2匹ずつ捕るには、チョウチョは何匹足りませんか。その数だけチョウチョのお部屋のマスに○をかいてください。

・サル3匹が、木になっているリンゴを3個ずつとるには、リンゴは何個足りませんか。その数だけリンゴのお部屋に○をかいてください。

・今いる魚全部と、池の外と中にいるワニ全部の数の違いはいくつですか。その数だけ魚とワニのお部屋に○をかいてください。

 

 


 

 

R校 <数の総合問題>
左の絵を見て、次の問題に答えてください。今日はウサ子ちゃんのお誕生日です。クマさんの森のレストランで、お誕生日パーティをしています。

・ティーカップは全部でいくつありますか。その数だけ☆1つのお部屋に○をかいてください。

・ウサ子ちゃんはケーキのロウソクを吹き消しましたが、2本は消えませんでした。ウサ子ちゃんは何本消しましたか。その数だけ☆2つのお部屋に○をかいてください。

・机の上のケーキをロウソクと同じ数に切りました。ウサギさんたちがケーキを1つずつ食べると、ケーキはいくつあまりますか。その数だけ☆3つのお部屋に○をかいてください。

・ウサ子ちゃんとお客さんは、サクランボを1粒ずつ食べようと思います。クマさんのカゴには3粒のサクランボが入っています。そして、1羽の小鳥が2粒、残りの2羽の小鳥が1粒ずつサクランボをとって持ってきてくれました。ウサギさんたちで1粒ずつ食べると、サクランボはいくつ余りますか。その数だけ△1つのお部屋に○をかいてください。

・ティーカップとスプーンはどちらが多いですか。多いほうの絵に○をつけ、多い数だけ△2個のお部屋に○をかいてください。

・右下のウサギさんが持っているように、チューリップを2本ずつ花束にすると、あと何組できますか。その数だけ△3つのお部屋に○をかいてください。

 

 


 

 

Y校 <数の総合問題>
動物たちがたくさんいる上の絵を見てください。

・池の中にいなくて、リュックサックを背負っていないペンギンは何匹いますか。その数だけペンギンのお部屋に○をかいてください。

・ここにいるサルのうち、4匹がお昼ご飯を食べに帰りましたが、その後また7匹やって来ました。今サルは何匹いますか。その数だけサルのお部屋に○をかいてください。

・ウサギさんが、チューリップ2本とヒマワリ1本で花束を作ろうとしています。花束はいくつできますか。その数だけお花のお部屋に○をかいてください。

 

 


 

 

典型的な問題を3校の入試問題から紹介しましたが、それぞれの問題をみると、質問事項にいくつかの共通点がみられます。

1.正確に数を数える(分類計数)
2.違いを求める(数の多少・一対一対応)
3.数の変化をとらえる(数の増減)
4.かけ算の考え方につながる「一対多対応」の考え方を求める
5.花束作りに象徴される、わり算(包含除)の考え方を求める

つまり基本的な問題ではありますが、将来の四則演算につながる全ての数の操作を一場面で求めていることになります。従来は、別々な問題として出題していたものを、生活に密着した一場面を用いて、数の基本問題を問いかけるという方法です。以前からあった問題ではありますが、一斉に多くの学校で出題し始めている背景には、数の学習を生活に密着して行いたいという学校側の想いが込められています。数字の世界に入る前に、こうした具体的な場面で、数の操作をさせたいと願う学校が増えてきたということです。計算主義の算数教育が見直されてきた、一つの表れだと見ることもできます。

ひとつひとつの問題は基本的な問題ですが、質問に答えるために、どの部分を見て解いたらよいのかを、子ども自身が判断しなければならないという点を考えると、別々なペーパーで出題していた時より、集中力が問われる課題です。基本的な数の学習を終えたら、こうした問題を通して、基礎学力を点検してみてください。また、こうした基本問題をより難しくする方法は、お話によって、場面の数を変えてしまうことです。場面の数が変わった状態で、新たな質問をするという問題を出す学校も出始めています。その意味で、聞く力が問われる良い問題ですので応用段階の学習課題にしてください。

 

   

 

最新 久野先生のコラムはこちら (こぐま会HP 室長のコラム)

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 室長コラム 第383号「『考える算数』をめざして」 こちら
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