第10回
最近の小学校入試において使用されるペーパー問題の枚数は、6〜7枚ぐらいが平均的な数ではないかと思います。その少ないペーパー問題において、学校側は、何を見ようとしているのでしょうか。「入学後始まる教科学習のために、学力の基礎がどれだけ身についているかを見ている」と言ってしまえばその通りですが、問題のひとつひとつを見ていくと、同じ学校の問題にも難易度の差がかなりあることが分かります。
私たちはこれまで、領域・単元別に入試問題を分析してきましたが、それとは違う視点で問題を分析しておく必要もあると考えています。すなわち
1 思考力が求められている問題
2 経験を踏まえて、知識が求められている問題
3 指示通りに作業して解決する能力が求められている問題
以前より少なくなったペーパー問題において、1の思考力が求められている問題が出題の中心になっているのは事実ですが、3の作業能力を見る問題も増えているのを見逃してはなりません。では、どんな問題か、昨年秋に行われた入試から、いくつか紹介してみます。
2013年度入試問題 東京女学館小学校 < 計数>
ここにある☆を5個ずつ緑のクーピーペンで囲んでください。(1分)
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2013年度入試問題 白百合学園小学校 <条件迷路>
お友達同士でジャンケンゲームをしました。上のお部屋を見てください。ウサギとカラスではカラスが勝ち、カラスとカメではカメの勝ち。カメとウサギではウサギが勝ちました。
左上の→から右下の→まで、ジャンケンで勝ったほうのマスを線でたどっていってください。縦と横には進めますが、一度通ったところと、斜めには進めないので気をつけてください。(2分)。
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2013年度入試問題 立教女学院小学校 <系列迷路>
左上の→から右下の→まで、上にかいてある順番をくり返して、線をひきながら迷路を進んでください。縦と横には進めますが、斜めには進めないので注意してください。同じマスを2回通ってはいけません。(30秒)。
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2013年度入試問題 横浜雙葉小学校 <運筆>
できるだけ丁寧に点線をはみ出さないように緑でなぞってください。上の段が終わったら、2段目、3段目、と行ってください。(2分)。
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以上で紹介した問題も領域ごとに分ける事はできるのですが、時間さえあれば誰でもできる問題を、決められた時間内に処理する能力を求める問題として考えると、思考力を求める問題とは、やや趣が違います。そこで求められている能力とは、一体何なのでしょうか。
1 指示をしっかり聞き取り、作業の意図をしっかりつかむ
2 限られた時間内にできるだけ沢山作業する
ということになれば、こうした問題を出す学校側の意図は、「聞く力」と「集中力」だと考えられます。物事を筋道立てて考える「思考力」とともに、この「聞く力」と「集中力」を、入学後の学習に必要となるレディネス(準備性)と考えているのでしょう。とすれば、こうした問題の対策もしっかり取っておく必要があります。
少ない枚数とはいえ、難しい問題ばかりを出題することはできませんので、「易しい問題」、言い換えれば、子どもたちが頑張れば得点できるこうした問題を取り入れて、「バランス良く問題を出題したい」と学校側は考えているはずです。学習に取り組む子どもたちの姿勢を見るこうした問題は増えていく傾向にありますので、その練習もしっかりしておかなければなりません。
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