第4回
すでに終了した今年の入試においても、工夫された図形課題が多く出題されました。数年前からの傾向ですが、数の領域よりも図形の領域の方が、難しい問題が多く出題されるようになってきています。
問題を作成する側からすると、数よりも図形の方がオリジナルな問題を作り易いのかもしれません。今年、ある学校で出題された以下のような問題が出てくることを考えると、図形的なセンスを相当磨かなくてはなりません。
※【上問題文】 図形構成 上にある3つのパズルを使って、左の形を作ろうと思います。それぞれどのパズルをいくつ使えばできるでしょうか。使うパズルのお部屋に使う数だけ○をかいてください。
※【下問題文】 広さ比べ 左のお手本を見てください。白いところと黒いところは広さが同じです。では、右の形の中で白いところと黒いところの広さが同じも
のを探して、青い○をつけてください。
※上の2問も掲載予定の『過去問とっくん』は2013年4月発売予定です。(発売予定日は変更する場合がございます。ご了承ください)
入試問題のレベルまでに子どもたちの能力を高めるために何から始めたらよいのか。決して、最初から過去問をペーパーでやらせるようなことがないようにしてください。
図形問題が数の問題と違うのは、設問を聞いてすぐに答えが出るわけではなく、構成したり、分割したり、模写したり・・・というように、ある程度の作業が伴います。この作業の仕方が問題です。慣れた子と慣れない子の差は歴然としています。普段の学習の中で、そうした作業を経験しているかどうかが問われます。つまり、試行錯誤を通して解答を導き出す経験が身につているかどうかが問題になるのです。
図形的センスをどう磨くか・・・これが大事です。それは、最初からペーパーでトレーニングして身につく能力ではありません。パズルを使ったり、折り紙を切ってみたり、粘土で形を作ったり、つみ木で見本と同じ形を作るために、どのつみ木を動かせばよいか…、こうしたものごとへの働きかけを通して身につけていかなれば、本当の力になりません。
では、図形的センスを育てるために、どのように経験させればよいのでしょう。私たちは、次のような活動を重視しています。
@ 折り紙で形を折ったり、切ったりする
A ピクチャーパズルで遊ぶ
B 三角パズルや、ツートンパズルで見本構成する
C タングラムで色々な形を作る
D つみ木で見本と同じ形を作ったり、一個ずつ崩したりして違う形を作る
E 見本を見て、形を模写する(平面図形・立体図形)
F 秘密袋を使って、目で見ないで触索だけで形の特徴をつかんだり、描いたりする
G 粘土で、立体物を作る
H 展開図から箱を制作する
I 透き通った紙に形を描きそれを重ねてみる(重ね図形)
J 折り紙を、二つ折りや四つ折りにして、あるところを切って開いてみると
どんな形ができているかを観察させる(対象図形)
ペーパーでトレーニングする前に、こうした活動を通して、図形的センスを磨かなければなりません。そして、ペーパー問題でつまずいたら、必ず事物に戻って確認することを徹底してください。その上で、様々なペーパー問題にあたることが大事です。
どんな作業をすれば答えが導き出されるか・・・それを考えることができればまず問題ありません。最近の重要なテーマは「回転」です。回転の要素が入り込むことによって、問題が難しくなってきていますので、回転のイメージがしっかり持てるように、事物やカードを使って、繰り返し練習してください。
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