第3回
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位置表象の内容は、どのような順序で学習したらよいか |
こぐま会の5領域指導の中で扱っている「位置表象」の学習は、図形教育の基礎を作り上げる大事な課題がたくさんあります。しかし「学習の順序をどうすべきか」、「子どもたちはどこでつまずくのか」、「難しい課題をどう解決していったらよいのか」など、ご家庭で指導される場合、学習の順序がかなり難しいようです。そこで今回は、位置表象の学習をどのように進めていったらよいのかをお伝えしたいと思います。
位置表象の課題は、次のような順序で学習するのが子どもの理解度に沿っていて、無理なく進めやすいです。
@ 上下・前後関係の理解
A 左右関係の理解
B 方眼上の位置(上下−左右関係の理解)
C 四方からの観察(前後―左右関係の理解)
D 方眼上の移動
E 地図上の移動
F 回転位置移動
最初に位置関係の基礎を学び、その位置関係の組み合わせでB・Cの課題を学びます。最後に位置移動に関する問題をまとめて行うようにすれば、基礎から応用までの課題を無理なく学習できるはずです。
ところで、この位置表象の学習の中でポイントになるのは何でしょうか。それは「左右関係の理解」です。
左右関係の学習は、自分の右手-左手の理解から始まりますが、その後、向き合った時の相手の右手-左手がどうなるかを学びます。また、交差点を指示通りに曲がる「地図上の移動」の基礎練習として、床に描いた交差点を指示通りに子ども自身が歩く経験の後、紙の地図上でミニカーや小さなお人形を使って移動します。
紙に描かれた交差点のうち、上から下りてくる(実際の場面では向かい合わせのところからやってくる)場合の曲がり方が、自分のところからとは左右が逆になることを学びます。つまり、視点が違うと左右関係は自分のところとは違って逆になる場合があるということを理解できるかどうかが大事です。この左右関係の理解は、あるものを違うところから見たとき、ものの位置関係がどのように見えるかを考えさせる「四方からの観察」の課題でも求められています。とくに反対側からの見え方を理解できるかどうかがポイントです。
こうした学習課題は、最初からペーパーでやってはいけません。実際の場で十分理解させた後、ペーパーを使って練習することで理解力が定着していきます。左右関係が絡む課題は、次のような順序で取り組ませることによって、子どもたちは無理なく理解していくはずです。
@ 右手左手の理解では、向き合って握手したり手をあげたりすることを通して、自分の右手-左手と相手の右手-左手がどうなるかを観察する
A ミニカーなどを使って地図上を指示通りに走らせる
B やかんを机に置いて、四つの違う場所から見えた通りに描いてみて、見る場所が違うと違って見えることを経験させる
C 親と向き合ったところに、左右の区別がはっきりするもの(例えば、取っ手のあるカップや、鉛筆が一本入った筆立て)を置いて、自分のところからの見え方と、親からの見え方の両方を絵に描いてみて、その違いを考えさせる
こうした経験を実際の場面で行った後、ペーパーを使って学習することで、自分が経験したことが抽象化され学力として定着していきます。
では、実際の入試ではどんな課題が多く出題されているのでしょう。
数や図形の領域ほどたくさん出題される領域ではありませんが、出題されるとかなり難しい課題が出題されます。
基礎段階で学ぶ「左右関係の理解」もそのまま入試問題になることもありますが、左右関係を発展させた「四方からの観察」と「地図上の移動」が入試問題の中心になります。また、回転した時の位置関係の変化を問う「回転位置移動」の難しい問題も出始めています。こうした難しい問題は、年長の5月末以降に取り組めば、入試に十分間に合いますので、それまでは左右関係の理解を中心に基礎をしっかり固めてください。
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