第2回
今年の私立小学校の入試もほとんど終え、あとは国立附属小学校の受験を残すばかりとなりました。一方、来年秋に受験する「年中児」の皆さんの受験対策がスタートし、新たな気持ちで教室通いが始まったことと思います。来年秋の受験まで、どのように学習を積み上げていけばよいか、書店で問題集を買い集めて、さて始めようと思ってもどれから手をつけたらよいか戸惑うことが多いと思います。それも無理はありません。一度経験済みの方ならともかく、初めての受験では子どもたちが物事をどのように理解して、どのような学習の積み重ねで入試レベルの学力が身についていくのか見通しが立たず、心配でならないからです。その結果、実際に入試で出題された問題を素材に、1年前のこの時期から過去問トレーニングをペーパーで行うことになってしまうのです。幼児の教科書でもあれば、それを徹底して学んでから、過去問に取り組むことができるはずなのに、悲しいかな、幼児の教科書はありません。そのことが、受験対策が歪んでいく一番の原因なのです。学ぶべき基礎的な課題を終わらせてから過去問対策に入っていけるなら、こんな筋道の通った学習法はないはずなのに、それができないことから、「間違いだらけのお受験」にはまってしまうことになります。この大事なスタートの時期に、1年間の学習方針を持たないと、これからますます混迷の度合いを強くしていくことになります。
では、どのような学習計画を立てればよいかということですが、すでに、幼児教室に通われている方は、その教室の年間計画に沿って学習を進めるのが一番よいと思います。ただし、最初から過去問を扱い、ペーパーのみの学習をするようなところは避けた方がよいでしょう。年間の学習プランをしっかり持ち、毎回のカリキュラムが提示されるような教室でないと、何をどのように家庭で学習したらよいのか分かりません。そこが明確になっていれば、ともかくそれを信じて一年間徹底することです。噂話で右往左往し、いくつもの教室に通うようなことがないようにすることが大事です。たくさんの教室に通わせることで、保護者の皆さんは安心するかもしれませんが、一番の問題は指導法が違う教室に同時に通えばどうなるか・・・・子どもが混乱するだけです。それよりも、その教室の指導法が信頼できるならば、それを家庭で徹底することが合格への第一条件です。また、教室に通わないで独自に計画を立て、家庭学習を進める方には、例えば、こぐま会で発行している「ひとりでとっくん365日」のようなシリーズ問題集を使うことをお勧めします。
この問題集は、学ぶ順序を示した画期的な問題集で、入試を目指す多くの方々の教科書的存在になっています。こぐま会の日常授業の進度に沿って作成していますので、基礎から応用へ、また具体から抽象へと内容を構成していて、ご家庭で使いやすいようにしています。12冊ある問題集を、できれば来年7月末までに一回り終了させておくことが大切です。未測量・位置表象・数・図形・言語の5つの領域を、基礎からきちんと学んでいただけるように構成していますので、系統性のある学習ができます。
さて、家庭学習の方針をしっかり立てることを前提に、今のスタートの時期に何をすべきか、大切なことを列挙してみましょう。
1. 基礎は繰り返し徹底して学習して、基本となるものの見方をしっかり身につける
2. 入試レベルの問題に直接関係なくても、繰り返し学習して身につける。実はこれが大切であることが、応用段階の学習に入ってからよく分かります
3. 最初からペーパーで学習することは極力避けて、具体物やカード教材を豊富に使う
4. 解き方を教え込まないで子ども本人に試行錯誤させる。教え込んだ解き方は、いずれ忘れてしまうことが多く、また応用力は身につきません。その意味でも、ものごとに働きかける経験こそが「考える力」を育てることになります。
「何をテーマに取り上げるか」そして「どのような方法で学習するか」・・・この2点が大事です。そのような観点から考えると、過去問をペーパーのみで進める学習が、この時期の学習にはそぐわないことはすぐにご理解いただけるはずです。基礎的な問題を、具体物やカードを使い、試行錯誤させながら解答に導く・・・・・スタート時の学習は、これでなくてはいけません。焦らず進めてください。ちなみに、こぐま会の日常授業は現在、「ひとりでとっくん365日」の「03」のテーマに関する学習に進んでいます。すでに終了した、「01」及び「02」の内容に関して何が大事か、何が子どもにとって難しいか・・・家庭学習の参考に少しお伝えしましょう。
「ひとりでとっくん365日 01・02」で取り上げた内容は
未測量 大きさ比べ・多さ比べ
位置表象 上下・前後関係
数 分類・分類計数
図形 基本図形の理解
言語 一音一文字・同頭音・同尾音・しりとり
ここで取り上げた内容はすべて大事な内容ですが、応用段階の学習や実際の入試問題にも取り上げられる課題としては「分類」「分類計数」「一音一文字」「しりとり」等が挙げられます。
「分類」は、仲間あつめや仲間はずれの形式で出題されますが、要するに大事な点は、ものごとの「同一性」をどう理解するかということです。ですから、仲間あつめや仲間はずれの理由をしっかりとらえて、「何が同じか」「何が違うか」を言語化させることが大事です。
「分類計数」は、いわゆる「正しく数を数える」ということで数における入試問題の定番ですが、出題のされ方は色々とありますので、どんな形で出題されてもよいように、しっかり正確に数える練習が必要です。
「一音一文字」は、日本語の一番基礎になる考え方で「いくつの音でできているか」「どこに何の音がつくか」が問われます。それが発展して、同じ音で始まる「同頭音」同じ音で終わる「同尾音」そしてそれを使ったことば遊びとしての「しりとり遊び」・・・と発展していきます。
この中では従来「しりとり」が入試問題の定番でしたが、最近は「一音一文字」に関する問題が急激に増えています。これらすべての課題は「絵カード」を使って学習するのが一番効果的です。最近では、しりとりの変形として「後ろから2番目の音でつなぐ」「真ん中の音でつなぐ」・・・・といった言葉つなぎが出題され始めています。基礎学習ではありますが、この中からすでにいくつかの課題が入試問題として取り上げられています。基礎といえども、大事な学習になりますので、そうした考えで学習を進めてください。また、使用する教材も「分類」は具体物や分類カード、「分類計数」は色おはじき、「一音一文字」や「しりとり」は絵カードというように、ペーパー学習の前に、具体物やカードを使っての学習を徹底してください。そこで身につけた考え方が必ず、ペーパー学習で生きてくるはずです。
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