第1回
私立小学校の入試も合格発表が相次ぎ、残すところ数校となりました。これからは私立に引き続き、国立附属小学校の入試が始まります。今年は、日程変更等で従来の併願パターンがくずれ、これまでとは少し違ってきていますので、試験がどのように行われたかについての正確な情報をしっかり確認しておいてください。これから来年秋の入試までの1年間、このコラムを通して、受験生の皆さんの学習面でのサポートをさせていただきます。これまで40年間現場に立って受験指導にあたってきた経験を生かし、まともな考え、まともな学習で合格を得られるようアドバイスしていきたいと思います。
小学校入試は、上級校と違って、学力テストの点数で合否が決まっていかないところが特徴であるし、また難しい点だと思います。指導に当たる現場の私たちも「学力だけで合否が決まるのなら、こんなやさしいことはない」といつも感じています。行動観察や面接が重視される背景には、子どもたちの成長を保障するレディネスがどのように備わっているのか、また子どもたちの成長を見守る家庭環境が良好なのか確認しておきたいという学校側の考えがあるはずです。出来上がった能力ではなく、これからの学校生活を通じて子どもたちが成長していくために必要なものをあらゆる角度から検査しようとしているのが、入試の実際だと思います。その意味でも「子育ての総決算」として入試を捉えておく必要があるでしょう。
しかし、こうした考えで行われる小学校の入試を、中学・高校・大学の入試と同じように捉え、学力だけを伸ばせば合格できると考えているご家庭が多いのが実情です。ペーパー学習に特化した訓練のみが小学校の受験対策と考えたら、学校が求めているものと違った対策を子どもに強いることになってしまいます。成長した学生の入学試験とは異なるということ・・・この1点を理解してもらうだけでも相当の時間を必要としますが、私はこの点については常に強調していくつもりです。この点を理解していただかないと「詰め込み教育」という悪のスパイラルに入りこんでしまうことになります。そこから抜け出るためにも、入試の実態をしっかり把握し、合格できる子とできない子の差はいったい何なのかを考えてみる必要があります。この点については、今年の入試結果が出た段階で、一緒に考えてみたいと思います。
一年後の入試のために、教室選びや、家庭学習の方針などを立てなくてはなりませんし、このスタートの時期は、皆さん意気込んでいろいろ準備されると思います。その大事な時期に、子どもたちを指導する現場の人間から、入試対策に関する基本的な考え方について、いくつかお伝えしたいことがあります。
1. 今すぐに過去問ができなくても全く心配ありません。子どもの成長を信じ、一歩一歩前進してください。年長の夏休みを過ぎた9月頃、子どもが一段と成長した姿を必ず見ることができるはずです。
2. 半年間は、基礎学力の育成のための、時間をかけて具体物やカードを使った学習を中心に家庭学習を進めてください。
3. 実際に出題された過去問題は、5月〜8月ぐらいの間に取り組めば十分間に合います。
4. 新しい課題を最初からペーパーでやっても、考え方は身につきません。新出課題は具体物やカードを使って試行錯誤させながら、理解を深め、その上でペーパートレーニングをするようにしてください。
5. 小学校入試は実力主義ですが、学力主義ではありません。ペーパーの点数が高い順に合格が決まっていくわけではありません。その点をしっかり理解してください。行動観察に象徴される集団活動の中での振舞いは、普段の家庭生活の中で培われていくものです。決して、教室において好ましいとされる「型」を教え込むものではありません。教室に預ける前に、まず家庭でできることを実行することを心がけてください。
6. 教室の先生と信頼関係を築き、その教室の指導方針を信じたら、それを徹底することが大事です。いろいろな噂話で右往左往し、沢山の教室に通わせることは、決して良い結果に結びつきません。違った教え方を同時にしてしまったら、子どもが混乱するだけです。信じた道をひたすらゴールを目指してがんばる事・・これが大切です。
お伝えしたいことはたくさんありますが、スタートの時期にどうしてもお伝えしておきたいことをいくつか述べました。ぜひこれからの入試対策の参考にしてください。また、ご質問等があれば、コチラ までご連絡ください。できる限り具体的にお答えしたいと思います。
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