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入試まで、あと2ヶ月となりましたが、模擬テストをどのように受け、その結果をどのように受け止めたらよいでしょうか
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久野泰可先生からのお答え
夏休みのがんばりで、入試に関する学習はほとんど終了したと思います。
これからは、その成果を模擬テストでためし、弱点を発見し、最後の総まとめをするのが良いと思います。
これまでも模擬テストを何回か受け、その結果に一喜一憂してきたのではないかと思いますが、模擬テストを受ける意味が一番大きいのは、夏休みから入試直前までの、これからの3ヶ月間です。それはなぜでしょう。
これまでの模擬テストにおいては、テスト内容をすべて学習し終えて受けてきたわけではありません。出された問題がまだ学習していなければ、できないのは当然です。ある塾が主催するテストが、会員は学習し終えていても、テストだけ参加した一般受験生が学習し終えているかどうかはわかりません。ですから会員の成績が良いのは当たり前です。
そのため私たちこぐま会が主催する実力テストは、出題範囲を明確にしてからテストを行っていますし、会員専用の発達診断テストは、ステップ別に学習し終えた内容をテストで点検しています。
しかし8月以降のテストは、学力がほぼ固まった段階でのテストですから、「学習し終えていないから・・・」という理由は成り立ちません。その意味で、これから受ける模擬テストが、真の意味で「模擬テスト」になるのです。ですから体力の許す限り「模擬テスト」を受け、その結果を家庭学習に活用してください。
ただ模擬テストの受け方・結果の受け止め方を間違えると、とんでもないことになりますから注意してください。これまでの経験を踏まえて、模擬テストを有効に活用する方法をお伝えします。
『模擬テストの受け方』
◇結果が詳しく分析されて返却されるテストを受けてください。点数や偏差値だけの数値化されたものだけが返され、子どもが行ったペーパーテストや、発言した内容が記載された資料が返却されないようなテストでは意味がありません。
◇問題が入試の現状を踏まえたものであること。出題根拠のない難問奇問を出し、序列化するようなテストは意味がありません。
◇テストの平均点が6割から7割ぐらいのテストが一般的な入試問題の難易度ですから、それを超え、平均点が5割にも満たないようなテストは、あまり意味がありません。また、できないことを理由に、模擬テストを直前講習会の勧誘手段にするような機関のテストは受ける必要はありません。
◇学校別の模擬テストが有効ですが、過去問だけを集めた模擬テストでは意味がありません。その学校の傾向を踏まえた予想問題がどれだけ含まれているかが大事です。
◇場数を踏むことにも意味がありますが、あまり慣れっこになってもいけません。受ける以上はそれなりの準備をし、本番の試験をイメージして取り組む必要があります。
『模擬テストの結果の受け止め方』
◆模擬テストの結果を数値化された順位や偏差値などで一喜一憂するだけでは、受ける意味はあまりありません。もちろん順位や偏差値をしっかり受け止める必要はありますが、一番をとったからといって合格の保証はどこにもありません。数値化される内容だけで合否が決まらないのが小学校入試の特徴だからです。問題は、何ができて何ができなかったのか。また、どのように間違えたのか。それを把握することが教育的に一番大事なことです。普段できているようでも、模擬テストになると点が取れないのはなぜか。いろいろな要素が絡んでいますが、基本的には、まだ十分理解していないと考えるべきです。理解していなくてもできてしまうことが良くあるということを知っておいてください。
◆初めての集団で、どれだけ力が発揮できたかどうか。それも模擬テストを受ける意味の一つです。特に行動観察における表現力をチェックしてください。
◆間違えたところは徹底して復習すること。ただ間違えた原因が、時間が足りなかったのか。指示が聞き取れなかったのか。内容をまだ十分理解していなかったのか。それをしっかり分析して、その対策をしっかりとってください。
◆結果がよければ問題ありませんが、点数が思うように取れなかったとき、一番の問題は母親の受け止め方とその後の家庭学習の変化です。どんな結果になろうとも、これまでどおりの方針で最後まで突き進むことが合格への道です。結果が悪かったからといって、直前の講習会を増やしても決して良い結果にはつながりません。間違えたところを、これまでの家庭学習の中に組み込んで徹底して練習してください。むしろ弱点が判明したことを喜んで受け止め、その対策を早急にとることが大事です。
◆模擬テストを最後のまとめに有効に使うためには、結果を冷静に分析することです。そのためには冷静に判断できる父親の参加を求めるべきです。
模擬テストの結果をどう受け止めるか、そしてそれをどのような家庭学習につなげていくか・・やり方によっては自信をなくし、逆効果になる場合が少なくありません。特に数値化されたものに振り回されないよう冷静な対応が求められます。
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