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ひとりでとっくん365日10号の学習法と注意点を教えてください
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久野泰可先生からのお答え
10号の内容は、応用段階の学習です。こぐま会の「ステップ6」の内容に関連しており、教室での授業は、すでに6月末から始まっています。「ステップ4」までの基礎学習をふまえた、やや難しい応用問題です。この中で、特に重要なものは
@ つりあい
A 地図上の移動
B 数の増減
C 数のやりとり
D 重ね図形
E 話の絵画化
F 回転図形
これら7つの課題について学習のポイントを簡単にお伝えします。
つりあい
シーソーを使っていますが、この課題で求められる思考法は「一対多対応」の考え方です。そして、もうひとつ大事な点は、置き換えの発想です。AとB、BとCの関係からAとCの関係を考える場合、Bを仲立ちにして考えなくてはならず、そこに置き換えの発想が必要です。AをBに置き換える場合もあり、CをBに置き換える場合もあります。いずれにしてもその置き換えの発想ができないと、難しい「つりあい」の問題は解決しません。
この置き換えの発想は、「交換」の問題でも求められています。
地図上の移動
地図上を指示通りに移動する課題です。交差点の入り方は4方向あり、それぞれについて右や左に曲がる課題です。いつも自分から見た方向からの進入だけではないので、難しくなります。ここでも左右の理解がポイントになります。地図上を移動する場合、話を聞きながら進む方法と、話を全部聞き終わってから動く場合と2通りあります。いずれにしても、目で追いかける練習が必要です。話の内容理解の中に、地図上の移動が入る場合は厄介です。地図を見ながら聞けないからです。話の内容として地図上の移動が出される場合はそれほど複雑な動きではないと思いますので、曲がり角の目印をしっかり聞き取ることが大切です。
数の増減
数の増減は、小学校1年生で行う3つの数の計算を文章で行うものです。扱う数は基本的には10以内の数が良いと思います。暗算で答えが出せるようにしたいのですが、そこにいきつくまでは「おはじき」などを使った練習をしてください。数が変化するたびに「おはじき」を増やしたり減らしたりする作業を通じて、数が内面化していき、次第に「おはじき」を使わなくても理解できるようになっていきます。いったん指を使ってしまうと、いつまでたっても指から離れられませんから、最初から「おはじき」などを触らせ、数の変化を考えさせたほうが良いと思います。この数の増減は、一対多対応などと複合化し、難しい入試問題に変化しますので、数の操作の中では、とても大事な課題です。
数のやりとり
生活や遊びの中でよくある数のやりとりを、2つの課題に整理し学びます。その一つは、違う数をやりとりして同じ数にすること。もう一つは同じ数からスタートして数をやりとりすると、違いはいくつになるかという課題です。具体物を使う場合とペーパーで行う場合、またお話だけで行う場合とでは難易度は違いますが、前述した2つの課題では、同じ数からスタートしてやりとりした結果の違いを求める問題のほうが、子どもたちにとっては難しいようです。例えば5個ずつ持っていて、1個やりとりすることによって、2個差が出てしまうことを理解するのに相当時間がかかります。もらったほうが1個増えたのだから「違いは1個」と答えてしまうのです。あげたほうが1個減るという事実に目が向かないのでしょう。そこに気がつけば、片方は1個増え、もう片方は1個減るのだからその差は2個ということは理解できるはずです。ここでも視点を変えて物事を見ることの難しさがあらわれています。その点をしっかり学習してください。
重ね図形
透き通った紙に描かれた形や模様を重ね合わせた時、どんな新しい形や模様ができるかを考える問題です。重ね図形が難しいと言われるのは、重ね方に2つの方法があり、それがしっかり区別できるかどうかという点です。一つは、そのまま上に乗せて重ねる場合です。そしてもう一つは、紙がつながっている場合、半分に折って重ねる方法です。この半分折りの重ね方が難しいため、重ね図形全体が難しいとされているのです。半分折りの重ね方の場合、位置や方向がそのまま上に重ねる場合と異なる場合があります。それをしっかり押えれば解決できますので、その点をしっかり理解させてください。半分折りの重ね方は、対称図形で学習した真ん中の線のところで折って、ちょうどぴったり重なるように残り半分を描く課題と、共通点がありますので、2つを関連づけて行うのが良いと思います。
話の絵画化
話の内容理解の一つとして「話の絵画化」があります。自分の好きな場面を描く場合と、お話の続きを描く場合があります。いずれにしても描いた絵をもとに、どんなお話であったのか、これからどうなるのかを説明しなくてはなりません。入試では発表力を見る問題としても使われています。登場人物や特定の場所の状況などをしっかり把握して描かなくてはなりません。ですから、お話の内容をしっかり理解していないと描けません。特に、お話の続きを考える場合、これからどうなるかのヒントが話の中に隠されているはずですから、それをきちんと聞き取ることが大事です。
回転図形
回転をテーマとした課題は、たくさんあります。観覧車に代表される回転推理や升目を使った回転位置移動、またつみ木の回転などがあります。この回転図形も回転をテーマにしていますが、ある形を右や左に回転させた時、図形の向きがどうなるかを推理し、選択肢の中から選んだり自分で描いたりする課題です。練習するのに一番良い方法は、立方体つみ木の正面の真四角に形を描き、それを右や左に何回か回転させた時、形の向きがどうなるかを考えさせることです。この問題に限らず「回転」が関係する問題は、とても難しい問題が多いと思います。実際に回転させてしまえば何の問題もありませんが、それを頭の中で予測することが大変なのです。そのために立方体つみ木の場合、右に3回は左に1回と同じであり、左に3回は右に1回と同じであるという置き換えができれば、回転する回数を少なくできます。それによってイメージしやすくなるはずです。
以上掲げた7つの課題以外にも、「方眼上の移動」・「お話作り」など重要な課題がいっぱいありますので、それもおろそかにしないでしっかり学習してください。特に、実際の入試では、今回取り上げたテーマは良く出題されるテーマですので、しっかり学習してください。
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