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お話の記憶問題はどの程度の長さの問題が出来ればよいのですか。(今通っている教室でとても長い問題が出題されるのですが、いろいろな学校の過去問を見ても、そんなに長いお話の記憶問題は出題されていないように思うのですが・・・・)また、お話の記憶問題を教えるときのコツってありますか?
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久野泰可先生からのお答え
言語領域の大事な柱である「聞く力」は、小学校入試では「話の内容理解」として、どの学校でも必ず一題は出されると考えておいたほうが良いと思います。
「聞く力」が、すべての教科の前提になるため重視されているのでしょう。その課題を「話の記憶」と捉えるか「話の内容理解」と捉えるか・・・・入試問題を分析する際の領域分けは様々なようですが、私たちは「話の内容理解」として捉え、記憶問題とは一線を画しています。
長い話は「話の内容理解」とし、短い話は「話の記憶」というように、話の長さで分けてみる方法もありますが、質問の内容を考えてみても必ずしもそのようにはなってはいません。また最近の入試問題は、単に話を記憶すると言うより、話の内容を理解しなければ解けない問題が多く見られます。
どのくらいの長さの問題が出来ればよいかという質問に対しては、実際の入試問題がその答を与えてくれますが、学校によって話の長さは様々です。ご質問にあるように、過去問と比べてあまりにも長すぎるのであれば、それは必要ないと思います。私たちは毎年、子どもたちから入試問題を聞き取り、今年は「24年間の入試問題分析」としてまとめましたので、それを参考にしてください。
子どもの立場に立てば、話の長さは難易度を決める大事な要素ですが、一般論として言えば、話が短ければ、かなり細かい点が質問されますし、話が長ければ、細かい点の質問より、話全体の流れをどう理解したかという点での質問が多くなります。
最近の傾向は、どちらかというと話の長さは長くなっているように思います。また、いくつかの学校では、すでに市販の絵本を使って問題を出しています。絵本を使う場合は、全部を読んでから質問する場合もありますが、ところどころで区切って、その都度質問するような形式になる場合もあります。もともと話の内容理解は「登場人物」・「順序」・「数」・「登場人物の行為」についての4つが質問の柱でした。ですから話の中に出てきたものを、そのまま覚えていれば解答できるという意味で「話の記憶」として括られていたのではないかと思います。しかし最近の傾向として、そうした問題が全くなくなったわけではありませんが、話の中身をしっかり理解していないと解けない問題が増えています。また言語以外の領域で学習している「関係推理」や「地図上の移動」「私は誰でしょう」「数の増減」や「数のやりとり」などの内容が質問され始めています。「話の内容理解」の形をとりながら、実は数の操作に関する問題であったり・・というように、どんな領域の設問が出されてもおかしくない状況になってきています。また時系列を論理的に考えさせるような問題も出題されています。
ですから、これからの対策としては、まず従来の4つの典型的な質問にはしっかり答えられるように練習すると同時に、他の領域の内容が問われることも想定し、それぞれの領域の理解をしっかり深めておくことが必要です。「言葉を通してものを論理的に考えさせること」を国の方針として打ち出している以上、「話の内容理解」の中で様々な質問がなされることは今後増えていくと思います。その意味で「覚える」と言うことよりも「理解する」ということに力点を置いたトレーニングが必要でしょう。
そのためには、まず絵本などの読み聞かせを毎日実行することや、自分で字が読める子は自分で読む習慣をつけることなど、入試問題をやる前に日常的にすべきことがあると思います。そうした普段の経験の積み重ねの上で、ペーパー化された問題に取り組んでください。ペーパーが先行したトレーニングでは理解しようとする前に覚えようとするほうに気持ちが働き、細かいことに気を取られ、一番大事なことを忘れてしまうことが良くあります。テクニックで解かせようとしないで、まずお話を楽しみ、お話の中身を理解するという姿勢を身につけることが、遠回りのようでも力がつく一番良い方法だと思います。
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