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これから夏休みに向けて、難しい応用問題のトレーニングを行いたいと思います。何を使い、どんな考え方で進めたらよいでしょうか
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久野泰可先生からのお答え
入試問題の8割は、基本問題です。他の2割が難しい問題ですが、決して振り落とすための難問・奇問ではありません。
出題根拠のある良い問題ですが、多くの子どもたちにとっては、初めて出会う問題なので相当高い壁を感じてしまうのです。繰り返し練習してきたパターン化された問題ではなく、かなり質の高い思考力が求められています。ですから、身につけた力を最大限発揮し、自分で考えて解かなくてはなりません。こうした問題の出来不出来は何によって決まるのでしょうか。
@ 1回の指示を聞いて、問題の意図をしっかり理解できるかどうか
A 筋道立てて、じっくり考える経験を持っているかどうか
B 基礎学力がしっかり固まっているかどうか。特に視点を変えて考えたり、
逆思考ができるかどうか
こうしたことが、問題の出来具合に影響してきます。
ところで、最近の問題の難しさは、どこに原因があるのでしょうか。難問を調べてみると共通していくつかの特徴があることがわかります。
A 違う領域の問題が総合されて出題されたり、数においてはある操作をして一度答えを出し、その答えに対して別な数の操作をしなくてはならないように、問題が「複合化」されて出される場合が多い
B パターン練習の成果で答えが出てしまわないように、余分な要素を入れて、問題を複雑にしている
C お話によって、ペーパーの場面を転換してしまい、その転換した場面のまま質問してしまう。(特に数の変化)
D 話の内容理解の中に、これまでにない他の領域の質問が入り込んでいる
E あるものを仲立ちにして、関係を考えていく問題が増えた
こうした問題を解くカギは、やはり「論理的思考力」を相当高めておかなくてはならないということです。そのために、これからの家庭学習をどのような考え方で進めたら良いのか。私たちが教室でも実践していることも含めてご紹介しましょう。
☆難しい問題には必ず基礎問題があります。その基礎問題が何であるかをしっかり把握し、まずその基礎問題を繰り返し練習すること
☆基礎問題が本当にわかっているかどうかを点検する際、必ず逆からの質問もすること。いろいろな角度から質問し、本当に理解しているかどうかを点検する
☆難しい問題はいったいどこが難しいのかをまず大人が分析し、把握してから、子どもに取り組ませること。そして、なぜできなかったのかをもう一度分析すること。
☆間違いの原因はいろいろあるが、質問の意図を本当に理解して取り組んだのかどうかを確認すること。難しい問題は、設問の意味がわからなかったり、取り違えていて間違えたりすることが意外と多い
☆できても、できなくても「なぜそうした答えになるのか」を説明させること。できていても、たまたまできたのでは、次にできるかどうかの保証はないので、解き方まで点検すること。それには、説明させることが一番であること(対話教育の実践)
こうした考えで臨んでください。
ところで何を使って、学習すれば良いのかということですが、一番手っ取り早いのは、実際の入試に出た過去問を使うのが良いと思います。ただ、入試問題がすべて難しいというわけではありませんので、学習する前に難しい問題を選択しておいてください。また、私たちが開発した「ひとりでとっくんシリーズ」の100冊は、最初の5問と、最後の5問とでは難易度は相当違います。ですから、各問題集の最後の10枚くらいを集めて行えば、難問対策にはなります。
また、学校別問題集を活用するのも一つの方法です。
学校によって、基本問題が多い学校と、難しい問題が多い学校とがあります。受験する−しないに関係なく、他校でどんな難しい問題が出されているかを知っておくことは大切です。ある学校で出た問題が2〜3年後に他校で出されることがよくあるからです。
私が担当する「雙葉小学校」の問題は、他校より難しい問題がたくさん出ていますので、難問トレーニングの一つの方法としては,雙葉小学校関連の問題集を活用されると良いと思います。また、こぐま会では、「領域別難問トレーニング」を5冊出していますので、それらも活用してください。
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