立命館小学校 浮田恭子 校長先生
一生懸命書いてくださった字かどうかは、すぐにわかります。ですから、字の上手下手にこだわっていただかなくて結構ですよ。心がこもっていればそれで良いのです。欄にいっぱい書かなければいけないという決まりもありません。勿論、欄いっぱい、ちょうど最後に「。」が来る、ということはそれだけ計算されているということですから、そこにも心がこもっていると言えますね。先日、思いがいっぱいあるから小さい字になってもいいですか?と聞いてくださった保護者の方がありました。勿論です。小さな字でも、しっかり読ませていただき、皆さまのお心を受け取ります。
私が書類を書くときには、ワープロでまず原稿を書いて、2日ほどして読み直して変なところを直し、あと1日おいて読み直して付け加えることがないか考え、感情的すぎる文を削り、字の大きさを調整して、清書することにしています。
今年度の願書の場合も、欄いっぱいに書くことに重点を置くのではなく、短くても相手の心に伝わるのが本当の名文ですよね。でも、名文である必要もありませんよ。
わが子を思う親の気持ち、家族の気持ち、立命館小学校を選んでいただいたお気持ち、そういうものを見逃さないように、昨年から何回も議論して、同じようなことを書かなければ埋まらない項目は外し、短文で書いてもらった方が書きやすい削った結果、今年の願書は1枚になりました。
入学希望者の保護者の皆さま、皆さまが一生懸命に書いてくださった願書は一枚一枚丁寧に読ませていただいきます。面接会場で、皆さまとお会いできることを楽しみにしております。
立命館小学校 校長 浮田恭子
近畿大学附属小学校 木原晴夫 校長先生
願書の書き方について
・本校を志願された率直な気持ちが表現されているかどうか
学校案内等のパンフレットにある内容ではなく、実際にご覧になった学校や子どもたちの様子などから志願された理由がわかるとよいと思います。
<例>
授業に取り組む子どもたちの様子
休み時間の子どもたちの様子
先生と子どもたちとの雰囲気
子どもたちと言葉を交わされたこと
入試説明会や学校公開に参加された感想 など
・丁寧に取り組まれたかどうか
限られたスペースですので、いきなり書くよりコピーをとられ、下書きをしてから清書されるのがよいと思います。
・面接の資料として活用します
面接官は事前に願書を読み込み、面接時に活用します。書かれた内容が話題のひとつになる場合もあります。ご自身の思いや考えを素直に書かれることがよいと思います。
・最後に
来春、本校の制服を着て登校されるお子様の姿を思い描かれながら、一生懸命書かれたことが伝わってくればよいと思います。
近畿大学附属小学校 校長 木原 晴夫
小林聖心女子学院小学校 森本 幸一 副校長先生
○「本校を希望する理由」の欄について
多くの私学の中から本校をなぜ選んで希望していただいたのかを、建学の理念や教育方針、あるいは教育の特色等も参考にしていただいてお書きください。
お書きいただいた中には、ご家庭の方針とも関連づけて書かれている場合もあり、なるほどと納得させられる事があります。
○「家族欄の備考」について
絶対に書かなければならないものではありません。知らせていただくことがあれば、お書きください。
○「親からみた本人の長所・短所」の欄について
この欄は、お子様の発達段階もお考えいただいた上でありのままをお書きいただけるとよいですよ。
親子面接や入試の時に、お子様をみせていただきますと、(なるほど、この子はあまり話をしないけれど、よく考えている。願書にかいておられる通りだ。やはり、保護者の方は、よく見ておられるなあ。)とか、(この子は引き込み思案なんだな。なるほど。)とか、想像できます。ですから、この欄からは、保護者のお子様を見る目の確かさも分かります。
短所についてですが、「短所は長所の裏返し」と言います。短所があることが良くないのではなく、それは長所となる可能性を秘めています。どうぞありのままのお子様の様子をお知らせください。
○「本校をどうして知りましたか」の欄について
本校をお知りになった理由に優劣はありません。ですから、これもありのまま、お知りになったことが、なぜ本校を選ばれることに繋がったのかをお書きいただけるといいのではないでしょうか。
以上をご参考に書いていただければ有り難いです。でも、なんと申しましても、子どもを思う親の心がこもった願書がであれば良いのですよ。
「字の上手下手ではなく、丁寧に、そして、本校の志望理由を明確に」がポイントです。
小林聖心女子学院小学校 副校長 森本 幸一
大阪聖母学院小学校 赤野 孝一 元校長先生
「面接に思うこと」
いよいよ、私立小学校の入学試験の季節です。
まだ就学前のお子さんと親御さんと個別にお会いする面接は、試験を実施する小学校の先生たちにとっても緊張の連続です。なぜなら、試験のなかで、これほどストレートに自らの学校についての思いや、我が子にかける思いを肌で感じる機会はないからです。緊張のあまり、額に汗びっしょりになられて口ごもってしまわれたお父さま。母親としての思いに涙ぐんでしまわれたお母さま。さまざまなお顔を思い出します。けれども主役は何といっても5歳・6歳の子どもたち。必要以上に緊張を強いることは、子どもたちにとって、苦痛以外の何ものでもありません。面接会場を出たとたん、「お母さん、お行儀良かったでしょ?〇〇買って!」と大声でお母さんに話している声を聞きながら、せっかくの面接の機会なのに残念だなぁと思ったことがあります。あくまでも、ふだんの親子の関わりをふだん通り表現できれば良いと考えて臨んでいただきたいです。したがって、準備は日々のおうちでの生活です。そんな日常の微笑ましい関わりが垣間見えたとき、きっと面接をしている先生の心にも、温かな空気が流れることでしょう。そんな体験を少し紹介します。
【手、つないできた】
Aちゃんは、面接室に入って来るなり、とっても笑顔のステキなお子さんでした。「Aちゃん、今日はどうやってここまで来たの?」とお尋ねすると、お隣のお母さんとニッコリと見つめあって、「あんな、お母さんと手、つないできた。」と答えたのです。「電車で」とか、「歩いて」とかの答えがほとんどのお子さんの答えでしたが、とってもユニークで微笑ましいお母さんとの繋がりを感じた一瞬でした。
【お鍋食べる時!】
Bちゃんは、少し引っ込み思案のお子さんのようでした。緊張していてなかなか、大きな声で話せません。でも、「おうちでどんなときが楽しい?」と尋ねると、俄然活き活きした目になって、「お鍋。お鍋食べるとき!」と答えたのです。お話を聞くとBちゃんの家では家族みんなが揃う週末は、毎週お鍋をされるとのこと。「みんなでお話しながら食べるのが好き。」とBちゃん。蛇足になりますが、最近、この質問をしても、黙ってお母さんの顔を見ている子どもさんが増えたのは気になります。正しいことを言わないと叱られると思ってしまうのでしょうか。溢れるおうちの楽しさをどのお子さんにも与えてあげて戴きたいです。
子どもは正直です、普段がそのまま出ます。そしてそれで良いのです。保護者のみなさんも親でなくては語れない“わが家の家族自慢”を大切にして臨んで戴きたいものです。
以上です。
大阪聖母学院小学校 元校長 赤野 孝一
情報協力: 幼児教室 けいkids+