■横浜初等部が目指すもの
慶應義塾は、安政5(1858)年の創立以来その形を次第に整え、明治31(1898)年、今日に至る一貫教育の制度を確立しました。それから一世紀余を経て、社会はその変化を更に加速させ、国際化・グローバル化への対応が強く求められています。今後益々、様々な価値観・利害が錯綜する、複雑で変化の激しい時代になっていくことでしょう。一方で、子供達を取り巻く環境は、家庭や地域の機能の低下が指摘されるように、様々な課題を呈して来ています。
横浜初等部では、独立自尊の精神を体現した将来の社会の先導者を育てるために、今の子供達を取り巻く環境と、子供達が社会に出て活躍する時代を共に見据えながら、新たな教育を創り出していきます。勿論、人間としての基本的な資質を育む年代である以上、新しさを殊更に衒うことなく、普遍的な教育を大切にしなければならないことは言うまでもありません。
入学間もない時期には、健康な身体と共に「律儀正直親切」な性質を養うことに力を注ぎます。律儀とは、自分のなすべきことを考え、それをまめに努めて行うことです。自分のなすべきことは、年齢と共に公の役割にまで広がっていきますが、その習性は、幼少期に、自分の身近な生活の中で行うことから始まります。そして、6年間を通じて、知力、体力、気力、表現力、人の心を思いやる力、異なる価値観を超えて協力する力、社会的責任感と倫理感など、多様な資質を育みます。
そのために日々の教育は、基礎学力の重視はもとより、「体験教育」、「自己挑戦教育」、「言葉の力の教育」を三つの柱に展開しています。
卒業する時に、その基礎が培われていることを期待する資質は、福澤諭吉先生以来の建学の精神に照らせば「身体健康精神活発」と「敢為活発堅忍不屈の精神」の二語に集約できます。強健な身体、気力と快活さに富んだ精神、そして、弛まず積極的に事をなす姿勢、自ら思慮判断する智力に裏付けられた勇気があって初めて、将来の益々複雑で変化の激しい時代において、直面する様々な困難に粘り強く取り組むことができると考えるからです。
なお、福澤先生が「一家は習慣の学校なり」と言ったように、子供の教育において家庭の役割は大きいものがあります。在学中に、家庭も家庭として育つ学校でもありたいと思います。
■体験教育
授業時間内と課外の活動、校内と校外の活動のいずれにおいても、具体的な観察・体験を大切にします。抽象的な概念や理屈も、そのまま受け入れるのではなく、自ら能動的に観察し体験することで初めて実感を以て理解できるようになりますし、その繰り返しの中で、物事の本質を掴む洞察力も培われます。
昨今の子供達は、核家族化、自由に遊べる空間の狭小化、バーチャル・リアリティのゲーム機の普及等によって、生活や遊びの体験が乏しくなっています。それだけに、非日常的な体験だけでなく、日常の生活と結びつく体験や創造的な遊びを豊かにすることが益々大切になっています。
■自己挑戦教育
自分の得意なことで更に高い目標を定めて達成したり、逆に苦手なことに積極的に取り組み、少しずつでもできるようになる体験を大切にします。例えば、運動から知的な活動へというように、その子供にとって得意で愉しい活動で得た自信をそれ以外の活動に広げていくことが大切です。その積み重ねが、どんなに難しいことでも、自分にはやり遂げることができるという自負と強い気力を生み出します。
昨今、くじけやすい子供、困難と向き合えない子供が増えているとしばしば指摘されています。しかし、これからの時代の先導者となるためには、困難に直面しても、くじけることなく粘り強く取り組み解決する力が求められているのです。
■言葉の力の教育
良書に親しむことや、自分の考えを他人が理解できるように言葉で表現する訓練等を通じて、あらゆる思考の基盤となる読む力と書く力、更に他者との協働を可能にする聞く力と話す力を養います。
近年、大学生に至るまで、読む力、書く力が低下して来ています。加えて、インターネット等で安易に不確かな情報に頼る傾向も強くなっています。このような中で、あらゆる教科にわたって、確かな学力の基礎、論理的な思考力の基礎として、言葉の力が益々大切になっています。また、言葉の力を、現象を読み解く力、問題を見出し解決する力につなげるために、文字としての言葉だけでなく、数や量を扱うことにも力を入れ、いわば科学の言葉、科学の文法の基礎も養います。
■時間割・共育課程
遠距離通学の生徒に配慮して、朝の登校は50分の幅を持たせています。授業終了後、学校に留まって遊びや読書を楽しむことができるように下校までの時間を長く取っています。放課後は、低・中学年は校庭での遊びや図書館での活動が中心ですが、高学年はクラブに所属してスポーツや芸術に打ち込みます。
また、図書館等では日本語や英語の児童書の読み聞かせ、音楽、美術、実験等の自由参加のプログラムを開き、生徒の好奇心を刺激します。横浜初等部では、授業内外、教科内外を問わず、確かな学力の基礎を築くと共に、スポーツ・芸術等を通じて、豊かな感性と個性を育みます。
■科目概要
週6日制を実施して十分な授業時間数を確保し、詰め込みや前倒しでない真のゆとりある授業を進めています。6歳から12歳の時期は、学習の習慣を身に付け、抽象的な概念を次第に理解し使いこなすようになる時期です。それだけに、特に初等教育にあっては、十分な授業時間を使ってゆとりある教育を進めることが本来のあるべき姿です。そのような条件の下で学級担任による確かな学級経営と専科教員による専門性の高い教育内容の提供ができるものと考えます。生徒にも教員にも十分に活用できる時間を与えながら、私学教育の使命である確かな学力の定着を図ります。
低学年から音楽、図画工作、体育、英語などの教科は専科制を取り入れています。高学年(5・6年)はすべての教科で教科担任制を実施する予定です。
また、言語技術教育を積極的に取り入れて言葉の力を磨くと共に身の回りの具体的な事柄についてデータを基に考える統計教育にも力を入れています。
国語
社会
算数
理科
音楽
図画工作
体育
英語
生き方科
福澤先生の時間
書道・古典
○国語
横浜初等部が大切にしている教育の柱に言葉の力があります。国語はその中心的な役割を担います。「読む力」を付けるには、多くの良書に触れることが大切です。音読や読み聞かせ、読書を通じて本の楽しさを感じると共に、物語の構造を理解する力を養います。「書く力」を付ける手立ては、学校生活には様々な行事や活動があり、材料には事欠きません。あらゆる機会を使って、書くことを日常のものにすることを目指します。それは自分を見つめ、自分を育てることにもつながります。授業では、推敲の指導にも力を入れて、話の展開を押さえながら分かりやすい文章を書く力を身に付けます。読む力と書く力を鍛えることに多くの時間を割くことは、生きていく上で大切な情緒や感性、論理的思考力を育て、全教科の学習を円滑で豊かなものにしていきます。更に、人の話を聞き、しっかりとメモやノートを取ることのできる「聞く力」、発表や討論・議論の時間を多く取り、「話す力」も育てます。それらによって、コミュニケーション能力は高まり、より安定した人間関係を持てるようになります。また、演劇的な手法の利用や言語技術教育なども積極的に取り入れます。
○社会
社会科の学習は、まず身近な地域への関心を大切にします。その関心の範囲は、次第に市、県、日本、世界へと空間的に広がり、また、現代から近代、近世、中世へと歴史的に広がります。学習内容と自分を取り巻く社会がつながっていることを常に意識できるように、社会を支える様々な施設で見学や直接体験を行い、教室にその成果を持ち帰り、発表する活動を行います。街へ出て観察したり調査したりして得た情報を統計的に分析し、問題の解決の方法を学ぶことも積極的に取り入れます。今の子供は、変化の激しい社会に生きています。新しい問題が次々に湧き起こります。そのような状況の中にあっては、自分で問題を解決する力を持っていないと対応ができません。世の中にある問題の多くは、事前に答えが分かっているようなものはないからです。またその際には、現象を俯瞰できる眼と深い洞察力がないと、目先の変化に振り回され、適切な判断ができなくなります。横浜初等部では、社会の中で人とかかわり、そのはたらきを体験的に学ぶ機会を提供し、20年後、30年後の社会の担い手を輩出していきます。
○算数
算数では、数や図形に対する感覚や計算力などの基礎を確実に身に付け、疑問を見出すことの愉しみや解決した時の喜びを感じることを大切にします。例えば、生活の中での様々な体験や具体物の操作を通して、数と量、図形についての感覚を育てます。計算力を身に付け、グラフ・表の作成、作図の技能を学ぶ中で更にそれを磨きます。新しい計算や図形に出会った時に、生徒の中で生まれた疑問やひらめきを大切にした学習を進めます。そのような学習は、受験勉強にありがちな、先に公式を提示して習熟していくだけの詰め込み型勉強ではなく、自ら問題を解決する体験を積み重ね、喜びや自信を育てます。また、自分の考えを他者に説明することで筋道を立てて説明する力も身に付けます。それらの学習によって、難しい問題場面に直面した時にも自ら挑戦し、楽しむことのできる生徒を育てます。
○理科
自然科学への関心を持つ生徒を育てるためには身近な生き物、身近な現象に好奇心を持つことや観察力を養うことが何よりも大切です。授業では、観察や実験などを多く取り入れて興味を引き出すと共に、実感を伴った自然科学への理解を深めていきます。見通しを持った観察や実験などを積み重ねることで、科学的な思考方法・分析方法、論理的に説明する力を養います。実体験に基づく知識の習得を大切にし、身に付けた知識を場面に応じて活用し考察していく中で、探究する喜びを育みます。校庭には池や小川があり、田んぼや菜園、飼育小屋もあります。四季の変化に富んだ樹木や草花で校地全体をつなげることにより、様々な生き物が行き交うビオトープ・ネットワークを築きます。また、図書館には標本コーナーを設置し、実際に手に取って学べる仕掛けを用意しています。このように無理なく自然を学べる環境を校舎内外に充実させ、日々の学校生活の中で好奇心や観察力が高まることを期待しています。
○音楽
音楽で最も大切にしていることは感性の育成です。美しい音、美しい曲を美しいと感じ取れる感性とそれを支える「耳」を育てるために、6歳から12歳までの6年間は、かけがえのない時期です。低学年から聴くという行為を丁寧に学び、音楽的な基礎能力を培います。そのためには継続した積み重ねが重要です。具体的には、ソルフェージュ・歌唱・楽器演奏・鑑賞の四つを柱とし、これらを有機的に組み合わせた授業を展開します。歌唱では、日本で歌い継がれてきた美しい歌曲・童謡等を大切にします。卒業時には、自分の力で楽譜が読めること、合唱や合奏の楽しさを身体で感じることができること、楽曲を深く味わうことができることを目標とします。音楽発表会など、生徒が自ら感じた事や考えた事を発表する場を多く設け、表現する喜びや感じる楽しさを持てる機会を作ります。また、演奏家を招いて講堂でコンサートを開催し、良質の音楽に触れる経験を通じて、生徒の創造力を豊かにしていきます。
○図画工作
小学校段階の6年間は、既成の概念や知識に束縛されずに、形をつかみ、色を感じ取り、伸びやかに表現できる柔らかさを持った年代です。この柔らかな感性を、6年間かけて大切にゆっくりと成長させたいと思います。図画工作では、しっかりものを観察して描く、あるいは造るという体験を通して、感じる心と表現する力を育てます。花や木々を見て美しいと感じる、夕陽や空を美しいと思う、父母の手を美しいと感じる。このような美しく感じることができる心は、子供から大人へ成長していく過程で、他人や社会と関わり合うのに大切な他者への思いやりを持つことにつながっていきます。人の作品や表現を見ることで、同じものを見ても人それぞれの様々な感じ方、表し方があることを知り、他の人を理解しようとする姿勢、多方向から物事を見ることの大切さを学びます。そして、自分の嬉しい気持ちや友達の喜びを肌で感じることを大切にします。
○体育
生徒一人一人が、身体を動かすことの楽しさを知り、明るく健康的な生活を営む態度を身に付けることが体育の目標です。具体的には、運動に親しむ資質や能力の養成、体力の向上、将来にわたる健康の保持増進の基礎作りを目指します。また、横浜初等部の広々とした環境を活かして、生徒たちがいろいろな遊びや運動を考え繰り広げていく中で、体力だけでなく、自主性を伸ばし、創意工夫する力や仲間と協力する力を高めていくことを期待しています。更に、フェアプレーの精神を大切にし、「練習は不可能を可能にす」という元塾長小泉信三の考えを受け継いで、継続的な努力を重ねる生徒を育てます。運動に怪我は付き物ですが、様々な遊びやスポーツを通じて、大きな怪我から身を守る集中力や身のこなし方を養います。そして、自らの安全を守る知識と力を身に付けます。
○英語
英語を生きた言葉として自分のものにしていくこと、また英語の学習を通じて異文化に慣れ親しんでいくことを、大切にします。低学年では、聞く姿勢を身に付けることを重視します。そして、歌や様々なアクティビティーを通じ、聞き慣れた表現を自ら発していけるように促します。高学年では、低学年で身近になった英語の表現を文字で確認し始めます。話すことだけでなく、書くことでも自己表現できるという経験を通じて、自分の世界を広げていきます。また、英語を単なる道具として学ぶのではなく、他者を尊重し、異文化に柔軟な構えをとることのできる素地、グローバル・コミュニケーションの力を養います。より広い世界に接することで自分自身を見つめ、それが他者の尊重、異文化に対する寛容へとつながっていくことを目指します。授業以外の場において、国際交流など異文化に触れる機会を提供し、新しい考え方や、異なるものに対するバリアを乗り越える力を培います。
○書道・古典
情報が溢れ、忙しい生活を送る現代社会の中でこそ、姿勢を正し、静かな中で落ち着いて筆をとる時間が大切です。授業では、最初は硬筆を用い、姿勢を正して丁寧に文字を書く習慣を身に付けます。その際、ただ書くだけでなく、平仮名や漢字の成り立ち・変遷なども学びます。そうすることで、文字そのものへの興味も膨らみ、本に親しむ習慣も身に付くようになります。学年が上がるにつれて徐々に毛筆へと移行していきますが、半紙だけでなく、手紙を書いたり、かるたを作ったりと、日常の生活や遊びに即した題材も取り入れます。更にこの科目では、古典(和歌、俳句、漢詩など)に親しむことももう一つの大切な柱です。素読等を通じて旧字や旧仮名遣いにも慣れ親しむと共に、長い歴史の中で伝えられて来た言葉の持つ響きや文字そのものの美しさに触れることも目指します。我が国の古典と伝統文化を学ぶことは、将来国際社会で活躍するために不可欠な教養の素地を作ることでもあります。
○福澤先生の時間
生徒達には、品格を高め、善悪の判断力を養うと共に、年少の時には自分自身の心の中に「律儀正直親切」な感性を培い、年が長ずるにつれて、それを周囲の人との関わりに留まらず、社会や公のために発揮できるように広げていくことが望まれます。福澤先生はそのことを期待して、『童蒙教草』(英国の子供向け道徳例話集)をはじめ、子供向けの本も多数遺していますので、先生の著作と生涯からその時々に適した題材を取り上げます。また、高学年になると慶應義塾の歴史や門下生の生き方を学びます。自らの学校の歴史を軸に学ぶことで、近現代史を身近に感じ興味を膨らませると共に、歴史感覚を持つこともできるようになります。加えて、義塾の人達の歴史的使命感や社会への責任感を感じ取ることは、自らの将来の役割を考えることにもつながります。なお、身の回りの安全、健康、いのち、情報モラル等、今日的な課題も適宜取り扱い、自ら考えたり、仲間と話し合ったりすることを通じて、生徒の心の成長に働きかけます。
○生き方科
学習指導要領にある小学校1〜2年生の生活科や5〜6年生の家庭科で学ぶ内容は、本来、6年間をかけて、連続して学習すべきものと考えます。横浜初等部は、総合的な教科「生き方科」を設けてこれらを包含し、教科の連携をはかります。低学年は、飼育や栽培などの自然に触れる体験や活動を重視すると共に、学校生活や家庭での暮らしを見つめます。中学年からは、自分を取り巻く社会の仕組みを学ぶと共に今日の課題を考えることを通じて、一人一人が社会の構成者であること、個々の責任と役割等を自覚し、「公」を意識するようになることを期待しています。なお、高学年は、家事労働や生活設計などの従来の家庭科の内容に加え、食育や健康教育の視点も加えます。家庭とそれを取り巻く環境という身近な題材を取り上げ続けることで、社会科や理科など様々な教科で得た知識がつながり合いながら活きた知識となり、多面的に考える面白さを知ることもできます。更に統計的な資料の読み方や取り扱いについても学び、具体的な数値を基に考える力を養います。
■学習環境
横浜初等部の校舎とグラウンドは青葉区の丘陵地に立地し、理想的な学習環境を提供します。明るく広々とした教室や図書館で探求的な学習に取り組み、天然芝のグラウンドで思う存分身体を動かして独立自尊の精神を育みます。校舎には、学年毎に用意された多目的教室、充実した専科教室に加え、音楽練習室、和室等も備えています。また、校庭には、2つのグラウンド、プール(水深調節機能付き)、ビオトープを設けました。徒歩5分で行くことのできるところにも敷地があり、そこは主に運動施設として、野球、テニス等のクラブ活動で利用します。
○講堂
演劇、演奏、合唱、朗読、演説等の発表や鑑賞の場として積極的に利用します。椅子はロールバックチェアで、電動で壁に収納させることができます。椅子の収納時には広いフロアーを使い、舞台に留まらない多様で創造的な表現活動にも利用できます。入学式、卒業式、音楽会、演劇会、講演会などの行事は勿論のこと、通常の授業における活動の場を広げることのできる施設です。
○図書館
学校生活の中心となる空間です。開架室とグループ学習室が主たる施設です。探究的な学びの拠点として教科学習をサポートする場所であり、司書教諭と学校司書がチームを組んで運営に当たります。この空間では、興味を持ったテーマについて書籍だけでなく標本や実物の資料に触れることで、更に学びを深め、好奇心を逞しくすることができます。開架室を取り囲んで、パソコン教室、英語教室、さらに閉架書庫と学校アーカイブズがあります。また、福澤先生の足跡や慶應義塾の歴史に触れることができる福澤先生ミュージアムもあります。
○多目的教室
全学年で教室の並びに、教室と同じ大きさの多目的教室があります。1・2年生は床にカーペットが敷かれ、いろいろな遊びを通じて、学年共通の憩いや交流の場として利用しています。3年生からはフローリングの床になり、3・4年生はグループ学習、5・6年生は分割授業に対応した部屋作りとなっています。それ以外にも劇の練習、美術の作品や理科・社会の研究成果の展示・掲示、校外活動前に行う学年の準備会、生徒の個別指導など、様々な利用が考えられます。教室のレイアウトが違うので、使用目的に応じた多様な使い方ができます。
○食堂
グラウンドが見渡せる、日当たりの良い南側の2階にあり、2学年分の椅子とテーブルが用意されています。給食は、教室で食べる日と、食堂で食べる日がありますが、食堂での給食は、食事のマナーを学ぶと共に、異なるクラス、学年との交流の機会となります。教室での給食では、当番が配膳し、級友や担任と共にクラスがまとまって食事をします。食堂は保護者の集まりや調理実習を行う場としても利用していきます。
○立科山荘
昭和48(1973)年に長野県立科高原に開設された校外教育施設です。標高2,530mの秀峰蓼科山を正面に望み、近くには、白樺湖・霧ヶ峰・女神湖があり、高原一帯は、白樺・唐松の樹林に囲まれています。初夏はレンゲツツジ・スズラン・アヤメ・ニッコウキスゲ、秋は萩・リンドウの花が咲き乱れます。春の新緑、秋の紅葉、冬の雪、とりわけさわやかな夏は猛暑を忘れる、素晴らしい環境です。一貫教育校から大学までの授業や課外活動に、積極的に利用されています。横浜初等部も、長期の校外学習で大いに活用していきます。
■安全対策・災害対策
東急田園都市線江田駅からの通学路をはじめ、学校周囲については、複数体制で配備された警備員が監視しています。
校舎は、体格差のある年代の生徒達が安全に、しかし同時に適度に混じり合えるように、動線に配慮しています。また、教員室は全体の要の位置にあり、生徒達は、教員の温かな眼差しを感じながら、安心して伸び伸びと遊ぶことができます。
大きな地震災害に対しては、校舎は十分な耐震性を計算して設計施工がなされ、校舎内の書架や家具にも十分に注意をしています。災害時には生徒を学校に留めおくことが想定されますので、非常食、毛布、水などを備蓄しています。また、台風や大雪などで休校にする場合や早目に下校させる時は一斉配信システムを用いて瞬時に保護者へ連絡します。
■給食
完全給食を実施しています。昨今の状況から、食物アレルギーには、管理体制を確立して対応しています。保護者と管理栄養士と医師と教員が必要な情報を共有し連携を密にしています。また、教科の授業でも食育教育に力を入れ、食事バランスガイドなどを利用した啓発を適宜行います。
■保健衛生
慶應義塾大学保健管理センターから小児科医が毎日派遣され、生徒が学校にいる時間は常に怪我や病気の対応をします。宿泊を伴う校外活動の時にも校医は同行し、生徒の健康管理に目を配ります。また、保護者の相談に対し、きめ細かく対応する体制を整えており、歯科相談、スポーツ医学相談なども定期的に行う予定です。
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